【オークス】桜花賞を〝見向きもしなかった〟アドマイヤベル ハイレベル・フローラS快勝から樫の女王へ
[GⅠオークス=2024年5月19日(日曜)3歳牝、東京競馬場・芝2400メートル] “非王道組”と侮るなかれ――。今週日曜(19日)に行われる牝馬クラシック第2弾・GⅠオークス(東京芝2400メートル)で、虎視眈々と樫の女王の座を狙うのが、トライアルのGⅡフローラSの勝ち馬アドマイヤベル(加藤征)だ。キャリア4戦でGⅠ初チャレンジと“王道”桜花賞組とは歩んできた道のりは異なるが、徹底して長い距離にこだわって我が道を貫いてきた。果たして勝算はいかに? 陣営を直撃した。
あくまで目標はオークス
過去10年で桜花賞組以外のオークス制覇となると、21年ユーバーレーベン(フローラS3着)、19年ラヴズオンリーユー(忘れな草賞1着)、15年ミッキークイーン(同1着)の3例がある。“勝率3割”とすれば悪くない数字だが、ことフローラSの勝ち馬に限ると10年サンテミリオン(同着)が直近で、それ以前は前身の4歳牝馬特別の時代にともに桜花賞1着後に同レースを挟んだ87年マックスビューティ、86年メジロラモーヌと昭和の元号までさかのぼらなければならない(いずれも1984年のグレード制導入後)。 後記した2頭は当時の開催日程が可能にさせた(現行だと桜花賞からフローラSは中1週、当時は中2週)とすると、牡馬ではダービーTRの青葉賞から本番勝ち馬がいまだ出ていないのと同様に、クラシック戦線の“非王道組”が苦戦を強いられるのは性別問わずの共通項なのかもしれない。 勝てば史上4頭目(実質2頭目?)という偉業に挑むのがアドマイヤベル。あくまで目標がオークスだったのはたどってきた戦績が示す通りで、桜花賞は“間に合わなかった”のではなく“見向きもしなかった”という表現がピッタリだろう。昨夏の新潟9ハロンでの新馬勝ち後は牡馬相手の百日草特別(3着)→フリージア賞(2着)を経てフローラSと徹底して10ハロンのレースに出走した。しかもフリージア賞で敗れた時点で同馬はまだ1勝クラスの身。その直後に本来なら除外の可能性があっても不思議のなかったフローラS一本に目標を絞ったのはいわば“賭け”でもあったが、自らの運と脚で見事に大舞台への道を切り開いたわけだ。