何度、最後通牒だと突き付けてものらりくらり…な夫が、本当にムカつく!【太田光代さん連載vol.1】|STORY
駆け出しの若手芸人の頃がいちばん可愛かった
今は家事なんてまったくやってくれませんが、昔仕事がないときはいろいろ手伝わせました。お魚を3枚におろしてアジフライ作ってもらったりね。夫は皿洗いが好きなので、皿洗いはやってもらってましたね。ただ、異常に洗いすぎるので、そこまで洗わなくていいとストップをかけなきゃ永遠に洗ってる(笑)。そのころは彼も私に懐いていたし、いろんなことを話してくれたんだけどなあ。あの頃が、一番良かったかも。忙しくなってただ家に居候しているみたいな夫なんて、なんかね。彼は「私がいないと生きていけない」みたいに言うけれど、それもいちいち勘に触るの。イラッとする(笑)。生きていくために私と一緒にいるのか? なんて思ってね。私は彼の親ではないんです! 別に、ベタベタしたいわけじゃないんです。セックスレスだって構わない。そういうの、私はあんまり好きじゃないから。逆に精力満々な人は好きじゃないんですよ。そこ、じゃないんですよね。
太田光作の長編『笑って人類!』も、 急にすんごい分厚い原稿持ってきて、 嘘でしょ!? と目が点に
先日発売した『笑って人類!』(太田光著)も書いているのはわかってましたが、まさかあんなに長編になっているなんて知らなかったんです。ある日突然、目の前に原稿をドサッと置かれて「できました。どうにかしてください」って(笑)。はあ? ですよ。売って欲しいなら途中経過を見せるのが普通じゃないですか? どのくらいの量になる、とか、こういう話になるよ、とかね。もともと小説を出版するにあたって、サイバーエージェントの藤田さんや幻冬舎の見城さんに相談もしているわけです。いろんな方が本の発売に向けて協力してくださって、皆さんの手を煩わせて巻き込んでるのに、あまりに一人で突っ走りすぎてて呆れています(笑)。
50代になってから、残り時間の貴重さを考えるように
私は今59歳。あとどのぐらい生きるかは知らないけど、 こんな状況であと何十年も生きていけない。人間、寿命にも限界があります。あと20年あるかないかの人生、意外に差し迫っても時間ないな、と思っちゃう。ましてや、元気に動き回れる時間は限られている。それなら元気なうちに楽しいことがしたい。私は旅行へ行くのが好きなんですが、なんか1人で行くのもつまんないし、やっぱり不安があるから、できれば男性と行きたいんです。太田さんが行ってくれればいいんだけど行ってくれない。それなら楽しく旅行に行けるような異性の友達が欲しいんです。ドバイやハワイにも行ってみたい。だから独身に戻って自由に好きなことをしてみたいの。だから、ほったらかしにされている妻が可哀そうだと思ってくれないと困ります! って彼には言ったの。一緒にいるなら、もう少しちゃんと一緒の時間を作ってよ、あなたが自分の部屋に居続けるなら、私は出ていきます! ってね。ちょっと考え方を変えていただかないと、危機感持っていただかないと嫌です、って。 だって、ひとつ屋根の下にいるのにまったく関わりがないのなら、夫婦でいる意味がないですよね。ただの同居人ですよ。これから老いがやってきて、介護とか面倒を見なきゃいけない状況になったら、私は 何を張り合いに面倒見ればいいんですか。だったら、元気なうちに、スパっと別れておかないと自分の人生が台無しになっちゃう気がするんですよ。私の残りの人生は、私のものですから。楽しいと思うことだけをする! 生活の断捨離の筆頭格が夫、ってどうかと思いますけど(笑)、人生豊かに思い通りに生きるために、ここが正念場だと思っています。私がこういう性格だということ、つまり口にしたときにはただのハッタリではなく、覚悟が決まっているということなんて知っているのに。「もういい。やめましょう」となったときには“時すでに遅し”なんですよ。なのに、何度最後通牒だと言って突きつけても、のらりくらり……。今、妻がキーキー言っているこの時間をやり過ごせばおさまる、って思っているのがホントにムカつくんです。 撮影/河内彩 ヘア・メーク/清水寛之 取材/柏崎恵理