スロースリップ(ゆっくりすべり)検出と千葉県の群発地震に関係は?南海トラフ巨大地震との関連について専門家「関連はかなりあると研究者は考えている」【MBSニュース解説】
――千葉・房総半島沖で検出された「スロースリップ」は、「ゆっくりすべり」とも言われていて1990年代頃からGPSを利用した研究が進んで、地震との関連が注目されています。千葉県で相次いでいる地震は、これが関係していると見てよいでしょうか。 【画像を見る】プレート地震の仕組みと「スロースリップ」の違いは?図で解説を見る (京都大学防災研究所 西川友章助教)はい。千葉県で頻発している地震は、スロースリップが誘発しているものと考えております。千葉県で最初に確認されたのは1996年だったと思いますので、それからずっと観測が続いている状況です。
スロースリップの揺れ「人間が感じることはできない」
――プレート型地震を説明する際、海側プレートが陸プレートの下に潜り込んで、引っ張られたものが一気に戻る際に揺れる、と言います。これに対し「スロースリップ」は、海側のプレートが陸のプレートの下に潜り込んで、同じように引っ張られていくけれど、それが少しずつ戻っていくという違いです。 (京都大学防災研究所 西川友章助教)スロースリップのすべりによる地面の揺れは人間が感じることはできないような大きさと言われます。 ――ゆっくり戻っているなら、その後も地震は発生しないんじゃないか、と思いますが、そこに「ひずみが生まれる」といわれます、どういうことですか。 (京都大学防災研究所 西川友章助教)スロースリップが起こっている領域では、ひずみは解消されるんですけれど、起こっている領域と起こっていない領域の境に、新たにひずみが溜まっていきます。そのひずみによって小さな地震が発生するということが起こります。プレートとプレートの境界がある場所では、日本全国で広くスロースリップが発生していると今では考えられております。
日本のあちこちで観測されるスロースリップ
――確かに日本周辺を見ると、スロースリップは東日本、関東、小笠原、西日本、南西諸島、台湾、要するにほとんどの地域で観測されています。 (京都大学防災研究所 西川友章助教)そうです、これ全てプレートとプレートの境界が存在する地域です。境界ではプレートがずれ動いてますので、ひずみも常に蓄積されています。