西川貴教が愛車歴を披露 超希少なカールソンとの思い出などを語る
“日本の再発見”
西川貴教さんがいま興味を持っているのは、“日本の再発見”という。もともとは出身地の滋賀を盛り上げるためにさまざまな取り組みを行ってきたけれど、その過程で日本には素晴らしい技術やデザインがあることに気づいたという。 「僕は家具や建築も好きですが、日本には隈研吾さんだけでなく、クオリティの高い作品がたくさんあります。“日本のいいもの探し”が、自分のなかでちょっとしたブームになっています」 そこでGQ JAPAN編集部は、日本の高級車の推移を西川さんに見てもらうため、1988年に発表された6代目トヨタ「マークⅡ」と、最新のトヨタ「クラウン(スポーツ)」を用意した。 バブル期に発表されたマークⅡは当時、毎月2万台が販売された人気車種。先代にあたる5代目マークⅡとともに、“ハイソカーブーム”を牽引する存在だった。 2台をまじまじと見比べながら、西川さんはこんな感想を口にする。 「カイエンに乗ったときに感じましたが、車高の高いクルマは運転がしやすいんですね。だから高級車と呼ばれるモデルのスタイルが、セダンのマークⅡからクラウン(スポーツ)に移り変わることはよく理解できます。もうひとつ、クラウンのハイブリッドシステムにはとても興味があります。欧米でもEV一辺倒の風潮が見直されつつありますよね。日本が磨いてきた、エンジンとモーターを連携させる技術がもう一度脚光を浴びるような気がしています。だってすごいじゃないですか。エンジンが駆動をしたり発電機の役割を果たしたり、世界に誇れる技術だと思います」 家具や建築について勉強をしているという西川さんは、マークⅡのインテリアを興味深そうにチェックする。 「いまの若い世代には、この年代の日本車が人気だと聞きました。なんとなく、わかるような気がしますね。最近は機能と効率ばかり追求して、どれも似たようなデザインになっています。でもこの時代のクルマは、車種ごとに個性がある。日本のいい家具を掘り起こそうとか、滋賀の農業を盛り上げて食料自給率を高める取り組みをしようとか、そういうことを考えているので、日本の高級車を振り返るのは興味深いし、いい経験になりました」 そしていつの日か、背負った荷物が軽くなり、ひとりのクルマ好きに戻った暁に、西川貴教さんはどんなクルマを選ぶのだろうか。 「光岡自動車の『M55 CONCEPT』はちょっと興味がありますね。あとはシンガー(ヴィークル・デザイン)がやっていることとか、おもしろいと思います」 なるほど、あえてクルマを封印しているけれど、最新情報はしっかりとチェックしているのだ。 封印が解かれたときに、西川貴教さんがどんなクルマ生活を送るのか。楽しみに待ちたい。
【プロフィール】西川貴教(にしかわたかのり)
1970年9月19日生まれ。滋賀県出身。1996年5月、ソロプロジェクト”T.M.Revolution”として「独裁-monopolize-」でデビュー。2018年からは西川貴教名義での音楽活動を本格的に開始する。ほかにも俳優、声優、番組MCなど多岐にわたり活躍中。2008年には、滋賀県から「滋賀ふるさと観光大使」に任命。2009年より大型野外音楽イベント「イナズマロック フェス」を主催。令和二(2020)年度滋賀県文化功労賞受賞。 文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・浅沼薫(Deep-End) 編集・稲垣邦康(GQ)