堂場瞬一「これまでは習作。20年かけて一つの形になった」未解決事件を追うメディアと権力の闇を描いた『沈黙の終わり』が文庫化でランクイン[文庫ベストセラー]
4月23日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『白鳥とコウモリ(上)』が獲得した。 第2位は『白鳥とコウモリ(下)』。第3位は『変な家 文庫版』となった。 1位から3位は先週と変わらず。4位以下で注目は7位と9位に初登場の『沈黙の終わり』上下。警察小説の旗手、堂場瞬一さんが作家デビュー20周年の2021年に発表した記念碑的作品。江戸川で女児の遺体が発見されたことをきっかけに、30年以上にわたる連続幼女誘拐殺人事件が浮かび上がってくる。ベテラン新聞記者と若手記者が謎の解明に挑むも、事件の影にあった警察の縄張り争いや政権による圧力に直面する。元新聞記者の堂場さんが警察とメディアへの思いを込めた作品となっている。堂場さんは同作の刊行記念に発行元の角川春樹事務所社長の角川春樹さんと対談。角川さんに未解決事件にスポットを当てた理由を問われ《現実の日本社会では事件に限らず、曖昧なままで終わることが多いですから、せめて小説の中ではきちんと答えを出したいと思っています》と答え、《これまでの全ての小説は僕にとっては“習作”だと思っているんです。(中略)二十年掛けて習作してきたことが、ここで一つの形となったのかなと思います》と同作の出来栄えに自信をのぞかせている。
1位『白鳥とコウモリ(上)』東野圭吾[著](幻冬舎) 新たなる最高傑作、待望の文庫化! 二〇一七年、東京竹芝で善良な弁護士、白石健介の遺体が発見された。捜査線上に浮かんだ倉木達郎は、一九八四年に愛知で起きた金融業者殺害事件と繋がりがある人物だった。そんな中、突然倉木が二つの事件の犯人と自供。事件は解決したと思えたが。「あなたのお父さんは嘘をついています」。被害者の娘と加害者の息子は、互いの父の言動に違和感を抱く。(幻冬舎ウェブサイトより)
2位『白鳥とコウモリ(下)』東野圭吾[著](幻冬舎) 新たなる最高傑作、待望の文庫化! 父の死に疑問を持つ美令と父の自供に納得できない和真。事件の蚊帳の外の二人は? 父の真実″を調べるため、捜査一課の五代の知恵を借り禁断の逢瀬を重ねる。過去と現在、東京と愛知、健介と達郎を繋ぐものは何か。やがて美令と和真は、ふたり愛知へ向かうが、待ち受けていた真実は――。光と影、昼と夜。果たして彼等は手を繋いで、同じ空を飛べるのか。(幻冬舎ウェブサイトより)