暗号資産「冬の時代」に生まれたスタートアップは存続率が高い:レポート
暗号資産(仮想通貨)にとって悪夢のような2022年は、テラ(LUNA)が崩壊し、FTXが凋落し、暗号資産のレンディング業者が大きな痛手を受けるなどの、大惨事に見舞われた。しかし、これらの災難は、おそらく最も混乱に左右され易い存在である多くのチーム、つまり初期段階のスタートアップ企業たちを沈めることにはつながらなかった。 ラティスVC(Lattice VC)の新しいレポートによると、2022年にシードラウンドを発表した暗号資産スタートアップの80%以上が、現在も運営を続けている。 暗号資産にとって史上最も暗かったこの年を振り返るにあたって、今回の発見は、一筋の光明となるかもしれない。ベンチャーキャピタルは、2022年における激動の数か月間にシードラウンドを発表した1200のチームに対して50億ドル(約7300億円、1ドル=146円換算)以上を投入した。これは2021年の2.5倍である。 「2022年には大量の資金が流入したため、当然の予想として」失敗率が高くなると思われていたと、ラティスの共同創業者マイク・ザイコ(Mike Zajko)氏は述べる。しかし、この予想は実際には的中していない。 2022年における牽引役はアイゲン・ラボ(Eigen Labs)だった。同社によるリステーキングの発明は、2年後にはイーサリアム(ETH)関連やそれ以降に登場した多くの新興企業が礎とするものとなった。
事業の継続は厳しい
しかし、こうした成功例は、業界全体の姿を映しているとは言えない。ラティスによると、自社製品の市場適合性を見出せたチームはわずか1%で、追加で資金調達ラウンドを行ったチームはわずか12%だった。 この厳しい現実は、ホームランを望み続けるチームにとって、今後は厳しい時期が来ることを示している。真の強気相場における熱狂と個人投資家からの流入がなければ、成功は難しくなるだろう。どこかで、その前途は絶えることになるかもしれない。 「各々のチームは向こう岸にたどり着くために、最大限頑張った」とザイコ氏は語った。 ラティスによると、2022年期のスタートアップは、2021年のチームよりもトークンのローンチが著しく少なく、2021年と比較して2022年は15%減少している。これは、チームが「強気相場の窓」を逃したことと、中央集権型の取引所がどの資産を上場するかについて「より選り好み」したことで説明できるかもしれないとザイコ氏は述べた。 プラットフォームの重要性は製品と同じくらい、あるいはそれ以上であるように映る。2021年と2022年に億ドル単位の資金を調達した3つのエコシステムであるNEAR、Flow、StarkNetでローンチしたスタートアップは、追加資金の調達にことごとく失敗したと同レポートでは述べられている。