エアバスA340、長距離フライトへの期待背負った4発機が間もなく見納め?
まれに見る美しさ
旅客機にしてはおかしな話だが、A340はややパワー不足とされ、飛行速度が遅いと言われていた。 航空アナリストのリチャード・アブラフィア氏は、「(A340は)鳥に後ろから衝突される唯一の飛行機だった」と冗談を述べた。 「初代のA340は速度が遅い上に燃費が悪かった。またエンジンを4基搭載しているため機体が重く、維持費もかさんだ。機体を延長し、新しいエンジンを搭載した派生型も大した改善は見られず、それらが発売されるまでに、双発ジェット機がより少ないコストとメンテナンスで4発機と全く同じことができることが明らかになってしまった」(アブラフィア氏) 通常、ボーイング747のように貨物機バージョンがあると航空機の寿命は延びるが、A340には貨物機バージョンがないため、向こう10~20年以内に空から完全に姿を消す可能性が高い。 しかし、現時点ではA340にもまだ余命がある。それどころか世界で最も到達が困難な場所の一つである南極大陸まで飛行している。チャーター専門会社のハイフライ航空は、科学者とわずかな旅行者を乗せたA340―300で、南極へのフライトを運航している。 実際にA340が姿を消したら、多くの人が寂しがるだろう。 「A340はすべてのエアバス機の中で最も美しいと言っても過言ではない。A340の数がどんどん減っていくのは悲しい」と語るのは、ボーイング機を操縦する航空会社のパイロットで、人気の書籍・ブログ「Ask the Pilot(パイロットに聞け)」の著者でもあるパトリック・スミス氏だ。 スミス氏は「どの商用ジェット機も同じように見えてつまらない時代に、A340は常に他と一線を画してきた」と付け加えた。 今後A340の数が減るにつれて、同機はますます航空ファンのお気に入りになるだろう。 航空愛好家のブロガーで、これまでA340に50回以上搭乗したサム・チュイ氏は、「(A340は)見ていて興奮する飛行機だ。特に離陸する瞬間がたまらない」と、その魅力を語る。 「今やその姿をめったに見られないため、航空ファンにとってはさらに興味深い飛行機になっている。間違いなく双発機とは一味違う」(チュイ氏)