スペイン情緒に溢れた美しい音楽。アルベニス最晩年の傑作『イベリア』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
アルベニス『イベリア』 スペイン情緒に溢れたアルベニス最晩年の傑作
今日5月18日は、スペインを代表する作曲家イサーク・アルベニス(1860~1909)の命日です。 1860年、カタルーニャに生まれたアルベニスは、若い頃からピアニストとして活躍。20代になってから本格的に作曲の勉強をスタートしたためか、残された作品の多くがピアノソロやピアノとオーケストラのための作品です。作風は、フラメンコやイスラム風の味わいなどを醸し出すスペイン情緒と、フランス近代音楽の融合。この流れは、後に続くファリャなどスペインの作曲家たちに色濃く受け継がれます。 そのアルベニス最晩年の傑作『イベリア』は、天才的なピアニストでもあったアルベニスが、最後の力を振り絞って書き残した12曲からなるピアノ曲です。ドビュッシーやメシアンから絶賛されたこの作品をラヴェルも大いに気に入って、オーケストラ用に編曲しようと試みたところが、すでに他の作曲家(エンリケ・フェルナンデス・アルボス)が権利を取得していたために断念したという逸話も残されています。 “音の魔術師”ラヴェルの編曲が聞けなかったのは残念ですが、アルベニスの美しい音楽は永遠不滅です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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