「どうせ課長になっても給料はあまり上がらない」…優秀な同僚に「ケチをつける」人の精神構造
根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち5刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。 【写真】知ったら全員驚愕…職場をダメにする人の「ヤバい実態」 〈ある家電メーカーでは40代の男性社員があれこれケチをつけるので、周囲は辟易している。たとえば、新しいプロジェクトを立ち上げようと頑張っている後輩に「どうせうまくいかないよ」「やるだけ時間の無駄」などと言う。そのプロジェクトがうまくいき、みな喜んでいても、「これが続くかどうかわからない」「次はそんなに簡単じゃない」などと水を差す。いつも他人の喜びを台無しにして、やる気をくじくそうだ。〉(『職場を腐らせる人たち』より) 〈この男性が何にでもケチをつけるのは、今に始まったことではない。5年ほど前にも、同期のトップで課長に昇進した男性社員に「どうせ課長になっても、責任ばかり重くなって、給料はあまり上がらない。大変な思いをするだけだよな」と言ったことがあるらしい。それだけではない。「管理職になったことをきっかけにうつになる『昇進うつ』というのがあるそうだから、気をつけないとな」と心配そうな素振りも見せたという。〉(『職場を腐らせる人たち』より) こうした「あれこれケチをつける人」はどこにでも存在する。 本人は本人は厳しい現実を教えてやっているつもりなのかもしれないが、「職場を腐らせる人」と言えるだろう。 この男性がなぜ人にケチをつけるのか。 常に最悪の事態を想定しておくことも大事だし、そもそもこの人が悲観的な人なのかもしれない。 しかし、根底には羨望が潜んでいる可能性が高い。 〈この男性の胸中には、羨望、つまり他人の幸福が我慢できない怒りが潜んでいる可能性が高い。自分も昇進したくて、若い頃はそれなりに努力を重ねていたにもかかわらず、課長の一歩手前のポジションで足踏みする羽目になった。一方、同期は自分よりも先に課長に昇進した。その幸福が我慢ならなかったのだろう。 だからこそ、同期が手にした幸福にケチをつけたと考えられる。いくら喉から手が出るほどほしくても自分は手に入れられない幸福に浸っている他人を見ると、そのネガティブな面をいちいち指摘して、価値を否定せずにはいられない。〉(『職場を腐らせる人たち』より) つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。
現代新書編集部