全国の離島食材扱う「離島キッチン」 どんな食材があるの?
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東京・神楽坂にオープンした日本の離島の食材を提供するアンテナショップ型レストラン「離島キッチン」。運営するのは、島根県の隠岐諸島にある海士町観光協会だが、一自治体の組織がなぜ、自分たちの町のみならず、その他の島々の食材を取り扱っているのだろうか。
屋久島や佐渡島など約50島の食材を使用
東京メトロ東西線の神楽坂駅から徒歩2分。にぎやかな通りから少し入った住宅街に離島キッチンはある。店の表には南国風の植物が生えているが、隠岐諸島は山陰地方、ゆかりの植物とは思えない。この店の性格を端的に表している。 「離島ファンは潜在的に結構存在すると思うんです。それで、海士町単体よりも『離島』という幅広いくくりの方が、離島ファンを取り込めると考えました」と語るのは、離島キッチンのマネージャー・佐藤喬氏。東京と地方を結ぶ仕事がしたい、と考えていた2009年2月、ネットで海士町が「行商人」を募集していることを知り、応募したところ採用されたという経歴を持つ。 「行商人」の仕事とは、海士町の特産品を県外で販売することだったが、確認すると取り扱える品数はサザエカレーなど数点しかないという。これでは種類が少なすぎると考えた末、他島の食材もラインナップに含めた「離島キッチン」構想を立案した。 当初、海士町以外の品を扱うことに町内から疑問の声もあったが、他の離島と協力して販売することは先駆的な取り組みであり、町の評価も高まるなどと説明し、納得を得る。行商に使うキッチンカーの名前は「離島キッチン」とし、都内を回った。 以来、少しずつ取り扱い品目を増やし、今では鹿児島県・屋久島や新潟県・佐渡島など約50の離島の食材を取り扱う。営業面ではキッチンカーを卒業、2012年に茨城県水戸市へ店を構えて店舗経営のノウハウを蓄積し、昨年9月26日に神楽坂店をオープンした。
メニューを見てみると、アジフライなど海士町の食材を中心に、淡路島(兵庫県)のたこの唐揚げやトカラ列島(鹿児島県)のカツオのたたき、篠島(愛知県)のしらすおろしといった全国の島の食材がズラリと並ぶ。さらに、梅酒は佐渡島(新潟県)の北雪梅酒、焼酎は八丈島(東京都)の島なさけなど、酒類も離島産を取り揃える。 「日本には人が住む離島がまだまだありますから、これからもつながりを広げていきたいです」と佐藤氏は、今後も食材を扱う離島の数をさらに増やしていきたい考えだ。