2023年の企業倒産、前年比33.3%増 増加率はバブル崩壊後で最大 ― 全国企業倒産集計2023年報
倒産件数は8497件、コロナ禍前の水準に
2023年の企業倒産は8497件に達し、前年(6376件)を2121件上回った。2年連続で前年を上回り、2015年(8517件)以来8年ぶりの水準となった。 コロナ支援策の縮小に加え、物価高や人手不足等によるコスト増に耐え切れなくなった中小企業の倒産が急増した。前年からの増加率(33.3%)は、バブル崩壊後で最も高くなった。月別推移をみても、2022年5月から20カ月連続で前年同月を上回った。とくに12月(806件)は2023年で最多となり、中小・零細企業を中心に年後半にかけて増加基調を強めた。 負債総額は2兆3769億300万円で、前年(2兆3723億8000万円)からほぼ横ばい(0.2%増)となった。負債トップはパナソニック液晶ディスプレイ(9月特別清算、負債5836億円)で、全体の4分の1を占めた。上場企業など大企業では原則として私的整理スキームを活用する経営再建が定着しており、年間を通じて大型倒産は沈静化が続いた。
「令和6年能登半島地震」による企業活動への影響注視
2024年元旦、石川県・能登半島を震源とする大地震が発生した。今回の「令和6年能登半島地震」による死者は1月9日に200人を超えた。被害の全容は明らかになっていないが、最大震度7を記録した能登地方を中心に、今後は企業活動への影響も無視できない。帝国データバンクが1月5日に発表した調査で、能登地方に本社を置く企業数は、2023年11月時点で4075 社を数えた。建設業のほか、伝統工芸や観光産業、エレクトロニクス産業でとくに影響が懸念される。 地元企業だけでなく、大手企業の工場進出もある。東日本大震災や平成28年熊本地震など過去の震災を振り返っても、直接的な被害を受けた企業だけでなく、取引先の被災や原材料の調達難など間接的な影響を受けた関連倒産も多発した。 被災住民の安全確保や生活再建が最優先であることは言うまでもないが、復旧・復興が長期化すれば、これらのサプライチェーンを通じて全国の企業にも影響が広がりかねない。