楽天を電撃退団の田中将大 下位低迷のヤクルト、中日「獲得に動く可能性」が
「88年世代」の先頭を走って
田中は責任感の強い男だ。今年9月28日のオリックス戦(楽天モバイル)。昨年10月に右肘のクリーニング手術を受けて以降、状態がなかなか上がってこなかったが、楽天ファンは右腕の復活を待っていた。試合前にウォーミングアップのためにグラウンドに姿を見せると、大きな拍手が起こった。 「びっくりしました。あんなに歓声があるなんて。準備をしているときからこの声援に応えたいなという気持ちは強くなりました」 362日ぶりの一軍マウンドとなった先発登板は5回6安打4失点。3回までは無失点に抑えたが、4回に4本の集中打を浴びて3失点。5回も太田椋に右越えソロを浴びて4点目を失った。初回から飛ばした分、4回以降は球速が落ちたところをつかまった。「今季初登板とか、リハビリしてきて1年ぶりの登板だとか、どういう状況であれマウンドに上がったら自分の事情なんか関係ない。こういう投球になってしまい、今日のゲームを落としてしまって悔しいです」と試合後は責任を背負い込んだが、この時は楽天で「ラスト登板」になることを想像すらできなかった。 坂本勇人(巨人)、前田健太(タイガース)、秋山翔吾(広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)、宮崎敏郎(DeNA)らタレントがそろう「88年世代」で、田中は高卒で入団してから先頭を走っていた。日米通算200勝という節目の記録があるが、目標はその節目ではない。新天地でもう一度輝きを取り戻せるか。愛する杜の都に別れを告げ、36歳右腕が再スタートを切る。 写真=BBM
週刊ベースボール