<甲子園交流試合・2020センバツ32校>2020センバツ交流試合 スコアブック 夏の夢、来春へ思い継ぐ
熱暑の甲子園で球児たちが白球を追う。新型コロナウイルス流行下で行われる交流試合でも、例年と変わらない風景だ。ただ、そこにいるのは今春のセンバツに選ばれていた32校。そのうち独自大会を制したチームは8校に過ぎない(12日現在)。センバツに続いて中止となった夏の選手権大会に代わる独自大会の覇者は今、どんな思いでいるのだろう。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 「テレビで(交流試合の映像を)見かけると、うらやましいと思ってしまいます」 沖縄独自大会を制した八重山の兼島兼哲監督(51)は正直だ。春夏通じて甲子園出場のない八重山にとって、今年は千載一遇のチャンスだった。これまで石垣島出身の優秀な選手は島外流出することが多かったが、地域住民が「八重山を甲子園に行かせよう」と結束。ようやく全国大会を経験した世代が3年生を迎えたのだ。 だが、「夏の甲子園」の中止が決まり、独自大会で優勝したものの、聖地への切符が手に入ることはなく「子どもたちは複雑な思いだったでしょう」とおもんぱかる。 ただ、交流試合を見ていて思うことがある。「やっぱり甲子園はいい。今年も高校野球をやってくれて良かった」 出場校にとっても交流試合は救いだった。昨秋、明治神宮大会を制した中京大中京。「夏の甲子園」中止が決まった当日、愛知独自大会の開催方針が発表されたが動揺は収まらなかった。そんな中で決まった交流試合の開催。高橋源一郎監督は「あれで切り替えられた。選手も保護者も、甲子園でプレーできることが本当に大きかった」と感謝する。 異例の形とはいえ、「甲子園」の伝統は守られた。次に全ての高校野球指導者が思うことは、一つしかないはずだ。「センバツに向けて頑張りたい」と。【岸本悠】