『ソンジェ背負って走れ』で唯一無二の存在感 キム・へユンの魅力が詰まった出演作4選
『偶然見つけたハル』
漫画の登場人物が、もしも自分の意思を持って自由に動き始めたらどうなるか......という設定を描くファンタジーな学園物語。劇中では、漫画の世界で脇役として生きる女性にスポットライトを当て、自分自身の運命を変えようと奮闘する姿を描きながら展開していく。細やかに設定された作品のルールが散りばめられているのも面白いポイント。キュンキュンするような恋愛だけでなく、ハラハラするようなサスペンス要素も入っており、登場人物たちにどんな結末が待っているのか目が離せなくなっていく。2019年のMBC演技大賞では視聴者が選ぶ今年のドラマ賞を受賞し、出演していた俳優陣は本作以降一層活躍の場を広げた。 心臓病を患う本作の主人公ウン・ダノを演じるのが、キム・へユンだ。漫画の作者のシナリオに合わせた行動や台詞にあらがおうと、まるで1人2役のように葛藤する場面を演じてしまうのがすごいところ。行動派で明るく、コミカルさも持ち合わせているため、見れば見るほど愛したくなるような不思議な魅力を持つ。三角関係を演じたイ・ジェウク、ロウンとの息もぴったりで、相手役に歩幅を合わせながら心地よいケミストリーを作り上げていくのが彼女の沼深いポイントの一つだと思う。バラエティ番組『車輪のついた家』では、3人が再会し、キム・へユンの太陽のような明るさや仲睦まじい姿が見れるので、セットでの視聴をおすすめしたい。
『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』
選ばれし者だけが住むことが出来る豪邸を舞台に、受験を控えた親子を描くサスペンス。果たせなかった夢によって劣等感を抱く結果主義の親や、過程を大事にする親たちがぶつかり合い、狂っていくような姿を映し出していく。この展開だけは夢であってほしい! と願わずにはいられない場面もあり、容赦のない斜め上の展開の連続に一話観るたびにクタクタになってしまうと思う。ただヒリヒリするだけでなく、その背景にあるエピソードを描いているのが見どころの一つ。一度見始めると、先が気になりすぎて視聴を止められなくなってしまう。 キム・へユンという存在を世界に一層広めるきっかけになった作品といえば、本作ではないだろうか。劇中では、カン・イェソというキャラクターに憑依し、絶対に大学受験に合格するのだという執念を持ちながら、心が壊れていく過程を見事に演じている。後半にかけてどんどん眼差しが変わり、表情が変わり、緊張感と繊細さを纏いながら不安定になっていくイェソの変化があまりにもリアルで、終始目が離せない。