<薬屋のひとりごと>季節外れの「青い薔薇」を咲かせるため奮闘する猫猫、果たして結果は……
日向夏のライトノベルをアニメ化した「薬屋のひとりごと」(毎週土曜深夜0:55-1:25、日本テレビ系/ABEMA・ディズニープラス・Hulu・Leminoほかにて配信)の第22話が3月9日に放送された。壬氏から次の園遊会で青い薔薇が必要となったと相談を受ける猫猫。壬氏に無理難題を突きつけたのは軍師・羅漢だった。父と娘の直接対決を思わせるラストシーンが話題を集めた。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】足の傷口が開いてしまった猫猫を心配する壬氏(CV.大塚剛央) ■「薬屋のひとりごと」とは 同作は、日向夏の小説を原作とする後宮謎解きエンターテインメント。小説は「ヒーロー文庫」(イマジカインフォス)より刊行中で、「ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)および「サンデーGX」(小学館)でのコミカライズも展開されており、シリーズ累計2400万部を突破。中世の東洋を舞台に、「毒見役」の少女・猫猫が宮中で起こるさまざまな難事件を次々に解決する姿を描く。 TVアニメは長沼範裕監督(「魔法使いの嫁」や「劇場版 弱虫ペダル(2015)」など)のもと、TOHO animation STUDIOとOLM(「オッドタクシー」や「古見さんは、コミュ症です。」など)がタッグを組みアニメーション制作を担当。CVは猫猫役を悠木碧、壬氏役を大塚剛央が務める。 ■猫猫が季節外れの薔薇を咲かせるために奮闘 春の芽吹きを感じる頃、玉葉妃(CV:種崎敦美)の妊娠が確かなものとなり、翡翠宮で穏やかな日々を過ごす猫猫。そんなある日、壬氏から次の園遊会で青い薔薇が必要となったと相談を受ける。だが、薔薇が咲き始める時期は2ヶ月も先。しかも、青い薔薇とは……。猫猫にはそういう難題を出しそうな人間に心当たりがあった。そう、羅漢(CV:桐本拓哉)である。 まだ理由は明らかになっていないが、猫猫は実の父である羅漢を強く憎んでいる。これまでは徹底的に関わらないようにしてきたが、逃げ回っているのも癪だった。負けるものかと、猫猫は青い薔薇を咲かせることに挑戦。季節外れの薔薇を咲かせるために利用したのが、おしろいの毒で一時期弱っていた梨花妃(CV:石川由依)のために作られた水蒸風呂だ。 水蒸風呂の蒸気を流し込み、温めた小屋に薔薇の苗を置く。そうすることで花を狂わせ、咲く時期を早める。つまり猫猫は温室を作ったのだ。しかし、ただ薔薇が咲くのを待っていればいいというわけではない。晴れた日には外に出して日光を当て、温室に入れている間も薔薇が枯れないように、常に温度管理をする必要がある。 壬氏から人手として宦官が数人派遣されたが、確かな知識を持っているのは猫猫だけ。無理をしないようにお目付け役として小蘭(CV:久野美咲)が派遣されるも、「他人に任せるのは難しい作業だ」とひとり徹夜で動く猫猫。 小蘭は仕事をサボれる上におやつがもらえると大喜びで手伝ってくれた。だが、骨の折れる作業に睡眠時間も削られ、日に日にやつれていく猫猫を翡翠宮の侍女たちも心配する。そんな努力の甲斐もあって、ついに薔薇の蕾が咲いた。 ■猫猫と羅漢の父娘対決はいかに 園遊会当日、玉葉妃は欠席する。本当の理由は妊娠を隠すためだが、表向きは新たに淑妃となった楼蘭妃のお披露目として席を譲った。楼蘭妃の父は、先の皇太后に寵愛され、宮中で帝も頭が上がらないほどの影響力を持つ高官の子昌(CV:チョー)だ。そんな父と帝の前に並ぶ楼蘭妃。そこに色とりどりの薔薇を持った壬氏が現れる。 開花には至らなかったが、その見事さに帝から賞賛された壬氏は他の官たちから嫉妬の視線を浴びた。一方、無理難題を突きつけた張本人である羅漢は挑発が失敗に終わり、つまらなさそうだ。 園遊会の後、猫猫は壬氏に青い薔薇について種明かしをする。もともと用意した薔薇は全て白色だったが、色のついた水につけておくと茎が水の色素ごと吸い上げて花びらが染まるのだそう。かつては宮廷内に青い薔薇が咲いていたと語っていた羅漢。だが猫猫が予想している通り、羅漢は自分で薔薇に青い水を吸わせていたのだろう。「女を口説く道具でも欲しかったのではないでしょうか」と語る猫猫の顔が一瞬曇った。 壬氏は猫猫の爪が染まっているのに気づく。青い薔薇を覗きにくる女官たちの気をそらすために猫猫は爪紅、いわゆるマニキュアを後宮内で流行らせたのだった。その頃、羅漢も真っ赤な紅に染まった爪の女官たちが目に入る。「記憶の中の爪紅はけばけばしい赤ではない うっすら染まった鳳仙花の赤」と、おそらく懇意にしていた妓女に想いを馳せる羅漢。すると、記憶の中にある鳳仙花の赤にうっすらと染まった爪が目に入る。人の顔が碁石にしか見えない羅漢にもはっきりとその顔が見える猫猫だった。 羅漢の前に自ら姿を現した猫猫。次週描かれる父と娘の対決に、SNSでは「直接対決が来るのかな?楽しみだ」「羅漢が思わず目を奪われる爪の朱に、それを汚物でも見るかのような猫猫の冷たい目。このコントラストがとても面白かった」「猫猫が何を考えているのか気になる」と期待の声が上がった。 ※種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」 ◆文=苫とり子