健康寿命は経済力で決まる(7)ジェネリックが足りない…使用促進より安定供給を
ジェネリックの使用を、金額ベースで65%以上に引き上げるという政府のもくろみ。しかし2022年ごろから、ジェネリックの不足・品薄状態がずっと続いており、先行きが見通せません。 収入が低くなると心臓病リスクが高くなる…理由はいくつもある 24年9月時点で、国内で供給されている医療用医薬品は1万6549品目、そのうち1822品目が「限定出荷」(新規受注や増量受注に応じられない状況)で、1244品目が供給停止となっています(日本製薬団体連合会)。ジェネリックに限れば、8042品目中1057品目が限定出荷、890品目が供給停止です。 また報道によれば、不足感が強いのは、「解熱鎮痛剤」「かぜ薬」や、「不整脈」「高血圧」「狭心症」「アトピー性皮膚炎」「気管支炎」「うつ病」などの治療薬となっています。 試しに「医療用医薬品データベース」を使って、解熱鎮痛剤の現状を見てみましょう。 代表的なものは「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」「アセトアミノフェン」「アスピリン」などを有効成分とする薬です。 イブプロフェンは胃にやさしいことから人気がありますが、残念ながらほとんどのメーカーが限定出荷になっています。 ロキソプロフェンは「ロキソニン(第一三共)」の有効成分のことです。これもジェネリックはほぼ全品が限定出荷です。そればかりか先発薬のロキソニンも、錠剤、パップ剤(貼り薬)のすべてが限定出荷です。 アセトアミノフェンは多少マシですが、多くのメーカーが限定出荷を続けています。 アスピリン(バファリン)は大昔から使われている薬で、分子構造が単純で簡単に合成できることから、安定的に供給されており、その意味では優等生です。ただアスピリンは胃を痛めるという問題があります。 かぜ薬(総合感冒薬)に関しては「PL配合顆粒」や「ぺレックス配合顆粒」といった、処方量が上位の薬剤が限定出荷になっています。 また田辺三菱製薬の「メインテート錠」は、22年度において不整脈薬の供給量1位でしたが、今年の3月で販売を中止してしまいました。以前から原材料の不足で出荷が滞り気味でしたが、今回も同じ理由と思われます。 政府はまず、ジェネリックの安定供給を目指すべきです。 (長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科・永田宏教授)