鈴木優磨(鹿島アントラーズ)　(C)J.LEAGUE

前節の勝利を生かすためにも今節が重要となる。『2024明治安田J1リーグ』第4節で川崎フロンターレから9年ぶりに白星を飾った鹿島アントラーズの話である。今節の相手は90年代後半から00年代前半にかけて、覇権を争ったジュビロ磐田だ。2勝1分1敗・勝点7の暫定4位に付ける鹿島としてはかつての黄金カードで連勝を飾り、ここから一気に乗っていきたいところ。 【PHOTO】ジャーメイン良(ジュビロ磐田) 第3節でFC町田ゼルビアに悔しい“ウノゼロ”を喫した鹿島は、3月17日・川崎F戦では開幕戦の後半、第2節の前半で見せた4-2-3-1でスタート。1トップに鈴木優磨を据え、チャヴリッチを左ワイドに回し、右ワイドに藤井智也を置き、トップ下に名古新太郎を入れた。この組み合わせと配置がハマり、プレスの強度は高まり、攻撃の厚みも増した。 試合は鹿島ペースで時計が進むもフィニッシュの精度を欠くと、36分にワンチャンスをものにした川崎Fが先制。6連敗中、16戦勝利なしの相性の悪さが一瞬頭によぎるが、鹿島イレブンは慌てず騒がず。ハーフタイムにランコ・ポポヴィッチ監督から「何人かの選手は今日硬かった。力が入り過ぎたり、ナーバスになっているところが見受けられた。フロンターレに力で上回られたからビハインドを背負っているのではなく、自分たちを苦しめているのは自分たちだ。いいプレーができているので、後半も続けていこう。ただ、より冷静に落ち着いていこう」という言葉を掛けられると、選手たちは結果で応えた。 後半早々の47分、CB植田直通のロングフィードにチャヴリッチが反応。相手DFとのスプリント勝負に勝つと、スピードに乗ったままGKの股を抜いてゴールネットを揺らした。追い付いた3分後には名古の前線からのチェイスのこぼれ球をチャヴリッチが拾うと、再び名古にボールを託す。左サイドを侵入した名古のクロスはクロスバーを叩くも、鈴木が詰めて逆転。その後も落ち着いた試合運びを見せると、75分には先制点をマークしたマルシーニョが2枚目のイエローカードを受けて退場。3点目はならなかったが、鹿島が数的有利を生かして試合を締めた。 新加入のチャヴリッチが「長い間勝てなかった相手に対して、待ち遠しかった結果を得られて良かった」とチームメイトの気持ちを代弁すれば、古巣相手に初勝利した知念慶も「シンプルにうれしい。逆転勝ちといういい勝ち方だったし」と笑顔を見せた。さらに決勝点を決めた鈴木も「どんな状況であれ川崎さんに勝てたことは非常に大きいし、町田さんに負けてから連敗しなかったのも大きい」と自信を深めた。 一方、磐田は1勝3敗・勝点3の16位と2年ぶりのJ1で苦しんでいる。第2節、川崎Fとの壮絶な打ち合いを5-4で制したが、第3節・柏レイソル戦0-1、第4節・ガンバ大阪戦1-2と連敗を喫し、浮上のキッカケとはならなかった。懸念された攻撃力はリーグ4試合で6得点と上々の滑り出しを見せている。川崎F戦で4得点を量産したジャーメイン良が5ゴールを決めるなど、絶好調である。だが、しかし、リーグワーストの9失点は多過ぎる。もちろん、横内昭展監督も手をこまねいてはいない。2週間の中断期間にしっかり守備を修正してきた。往年の黄金対決で早速功を奏すのか。磐田としてはこのままズルズル後退するわけにはいかない。 リーグ戦での通算対戦成績を振り返ると、鹿島が30勝12分12敗と勝ち越している。直近7試合で鹿島は負けなしだが、その内5試合が引き分けなのが気になる。2022年10月・アウェイで行われた前回の対戦も、過密日程の鹿島が先制しながら前半の内に1-3と逆転され、試合終了間際に何とか3-3に持ち込んだのだった。 果たして、鹿島が連勝するのか、磐田が連敗を止めるのか。『明治安田J1』第5節・鹿島×磐田は3月30日(土)・茨城県立カシマサッカースタジアムにてキックオフ。チケットは鹿チケ(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZNにて生中継。