J1スタジアムでマイナンバーカードの実証実験 将来のファン拡大へ川崎・吉田社長「新スタジアムを満員にできる施策立案に役立てたい」
デジタル庁が6日、都内で会見を開き、マイナンバーカードの利用シーン拡大へサッカーJ1リーグの試合会場で実証実験を行うと発表した。実証実験は11月1日(川崎がルヴァン杯決勝進出の場合は10月30日)の川崎-鹿島戦(U等々力)、および11月9日の湘南-札幌戦(レモンガス)で実施される。 今回の実証実験ではスタジアム場外に抽せんブースを設置。本人の同意をもとにマイナンバーカードを提示した来場者が特典がもらえる抽せんに参加し、住所情報を反映した特典が付与される(ホームサポーターはアウェー側、アウェーサポーターはホーム側の地域名産品をもらえるなど)。 当選者は特典の受け取り時にもマイナンバーカードを再度提示して本人確認を行い、不正防止につなげる実証実験も行うといったものだ。 会見に出席した河野太郎デジタル大臣は「この実証実験を皮切りにJリーグのみならず、日本のプロスポーツあるいはスポーツ全体にさまざまなマインナンバーの利活用が広がっていくことを期待したい」とした。 Jリーグにとっても課題となる“ライト層”のファン拡大へ、その可能性を探る取り組みとなる。実証実験に参加する川崎フロンターレ・吉田明宏社長は「これまでチケットを購入した方の情報は把握をしてきたが、同伴者の方々については情報を取得しづらい課題があった」と説明した。 これまでもチケット購入の際に登録する「JリーグID」を通じ、チケット購入者の情報は得られていた。ただ、購入者とともにスタジアムを訪れる、全体の3割程度の入場者に関しては情報を得られなかったという。 マイナンバーカードの活用に有用性が示せれば、例えばサッカー好きの友人に連れられて来た初観戦者の年代や住所情報などから、再びスタジアムへ足を運んでもらうためのアプローチが可能となるなど、ファン・サポーターの拡大につなげていける期待感がある。 今回の実証実験で得たデータは集約した上で「今回に限り、後日来場いただいたことへのお礼メッセージをお届けすることが可能」と吉田社長。3万5000人規模に生まれ変わる等々力のホームスタジアムが2030年に完成予定とあって「新スタジアムを満員にできるような施策の立案に役立てたい」と話した。 スタジアムにマイナンバーカードを携帯することに不安を持つ声もあり、25年に予定されるスマートフォン「iPhone」へのマイナンバーカードの身分証明機能搭載で人々の意識に変化があるのかなど課題は少なくない。ただ、Jリーグ全体で“ライト層”のファン定着への効果的な1手となり得るか、今後の取り組みが注目される。