「豊洲市場まつり」に5万人 「築地魂」そのままに8年ぶり開催 威勢良い声飛び交う
3日、東京豊洲市場で移転後初めての祭りが開催されました。ベテランと若手が一緒となり、絶品の海の幸で5万人の客をもてなしました。 【画像】マグロ、アンコウ、ワカサギ…「豊洲市場まつり」絶品の海の幸で5万人をもてなす
■ベテラン業者「築地魂は豊洲にもってきている」
豊洲市場では3日、まだ日が出る前から準備に追われる人がいました。 「豊洲市場まつり」は8年ぶりの開催で、移転してからは初めてです。およそ5万人が来場しました。 その準備のために多くの市場関係者が、当日の朝早くから会場に集まっていました。その中でも、一段と目立つ男性がいました。 渡辺商店 渡辺幸雄社長(62) 「俺ら魚屋は、やっぱり元気が一番」 渡辺社長は貝の仲卸し業者を営み、19歳から市場で働く大ベテランです。 大きなねじりハチマキに青いTシャツ。胸には「つきじ」と「魚」の文字。気合があらわれています。 渡辺社長 「これ、正装なの。築地魂をもってきて、豊洲でしっかりやっているよという」 今回、祭りで提供するのは、アンコウ鍋とワカサギ揚げです。 渡辺社長 「(Q.試食は?)もう1カ月くらい前から」 お客さんに喜んでもらうため、息子の玄太さん(34)や鮮魚業界の仲間たちと当日に向けて準備を進めてきました。 移転問題で長い間議論が交わされた末に、2018年に築地から移転した豊洲市場。 渡辺社長 「自分の生まれた地でもあるから、築地への思いは人一倍ある。だから築地を離れたくなかった」 移転直後の苦難を乗り越えた渡辺社長が、祭りにかける想いを語りました。 渡辺社長 「俺らは築地から変わってないと。築地魂は豊洲にもってきている。頑張っているのを見てもらいたい」
■豊洲市場…ベテランと若手が一体となり進化
「豊洲市場まつり」を盛り上げようと気合が入っているのは、ベテランだけではありません。 テキパキと設営作業を進めていく杉岡修自事務長(36)。祭りへの参加は初めてです。 前職は住宅設備の営業職で7年間勤めました。今の仕事とは縁もゆかりもない環境でした。現在はマグロを扱う業種で、市場の総務全般を担っています。 杉岡事務長 「正直、入るまで何も知らなかった」 杉岡さんは、マグロの業界を若手として盛り上げたいと意気込みます。 杉岡事務長 「お祭りを通じて、魚のおいしさを知ってもらって。普段からスーパーでも手に取ってもらえるよう、ここ(祭り)で知ってもらえることが一番だと思います」 マグロ丼を食べたお客さんは、次のように話します。 20代 千葉から 「おいしいです。マグロがもっちりしている」 「やっぱりマグロが一番」 アンコウ汁の売り場では、午前10時前にはすでに長蛇の列ができていました。 満足気な表情を浮かべて、店にできた行列を眺める渡辺社長。 今回提供しているのは、北海道産のアンコウを使用したアンコウ汁。だしが効いたスープに肝が溶け出し、大きくて上品な身がぜいたくに入った一品です。 50代 都内から 「プルプルでおだしがきいてて、とてもおいしい」 想定をはるかに超えるお客さんに、渡辺社長は対応に追われます。 スタッフ 「はし買いに行ってる?はしが足らない」 渡辺社長 「はしきた。器は800個調達した」 スタッフ 「そんなこと言っても野菜がない」 渡辺社長 「やばい、やばい」 慌ただしい場面もありましたが、仲間と協力してトラブルを解決しました。 40年来の仲間 「きょうは良かったね。こんなになると思わなかった。俺は余ると思っていた。きょうは楽しいよね」 渡辺社長 「楽しい。最高です」 アンコウ鍋は午前中から飛ぶように売れ、午後1時には完売しました。 渡辺社長 「(Q.売り切れたが?)こんなになると思わなかった。うれしい悲鳴。疲れは吹き飛ぶよね」 若手の杉岡さんが担当していたお店でも、800食用意していたマグロ丼がすでに完売していました。 ベテランと若手が一体となり、進化していく豊洲市場。それぞれが強い想いを秘めています。