「ツイートをためらう自分にモヤモヤ」渡辺満里奈が自分なりの発信を模索する理由
発信をためらう自分にモヤモヤする
――渡辺さんはTwitterが大好きとのことですが、一方で世の中に広く発信することに対してためらうこともあるそうですね。 渡辺満里奈: Twitterを見ていると「ありのままの自分でいいんだ」という考え方が浸透してきたなと感じる一方で、「世の中が優しくないな」と感じることがあるんです。 私は若い頃からなぜ同性愛者に対して差別する人がいるのかがよくわからなかったのですが、北丸雄二さんの著書『愛と差別と友情とLGBTQ+』を読んだときに感動して「すごく良かったから、みんなも読んだ方がいい!」とツイートしようとしたんですよね。でも、ちょっとちゅうちょしてしまった。パッと発信すればいいのに、なぜか勇気が必要だったんです。 中傷や殺伐としたコメントを見ると「ここに飛び込むのかな」と思ってしまったし、発信することで叩かれている人がいるという実情があることを考えてしまったんですよね。夫も同じ職業をしているし、自分の仕事にも何か影響があるかもしれないし。そんなことを考えてしまう自分にモヤモヤしました。 ――実際に言葉の持つ力や可能性を感じているからこそ、自分の言葉で発信することに対して慎重になっていらっしゃるのですね。 渡辺満里奈: 発信をするかしないかだけでなく、50歳を超えた大人としてこれまで積極的に発信をしてこなかったことにもモヤモヤしています。若い頃から周りの方々に守られて育ててもらったからこそ、大人になった今、どこかに恩返ししないといけないんじゃないかと思ってて。モヤモヤしつつも、自分なりの発信の仕方を探していかないといけないと思っています。 若い人が安心して私のような表に出る仕事がしやすくなるような発信をするとか、子どもたちの生き方や働き方についても意見するなど、自分なりの恩の返し方や発信の仕方があるんじゃないかと模索しています。 ――アイドル活動をしていたときの自分に伝えたいことはありますか? 渡辺満里奈: 私は言われたことをすごく素直にやるタイプの人間でした。ただ、今は「嫌なときはNOと言ったり、自分の考えをもっと言ったりしても良いんだよ」と当時の自分に言ってあげたいですね。「自分の意見を言っても別に誰も怒らないし、拒否したりしないから大丈夫だよ」と。若い頃は大人と仕事をすることが多かった分、どうしても「これは言っちゃいけないかな」と考えてしまうことが少なくなかったですね。子どもたちには自分の意見をきちんと言うように教えていきたいし、自分もそういう姿勢を忘れないでいたいですね。 ――とはいえ、ハレーションを生むような話題を控えるように言われたり、コメントにも制約が課されたりすることもあったのではないでしょうか。 渡辺満里奈: 私は比較的すごく自由に発言をさせてもらっていたと思いますが、長いこと仕事をしているなかで「自分の意見を言うのが怖い」という考えが染みついているところがあります。自分で制約を作っているかもしれないですね。長年培ってきた考えだから、本当に時間はかかるかもしれないけど、少しずつ自分の意見を発信していければ良いなと思っています。 ----- 渡辺満里奈 1970年東京都出身。1986年『夕焼けニャンニャン(おニャン子クラブ会員番号36番)』で芸能活動開始。おニャン子クラブ解散後は、清潔感あふれる明るいキャラクターを活かし、テレビ・ラジオ・雑誌などで活躍。2005年にネプチューンの名倉潤さんと結婚し、現在2児の母でもある。 文・清永優花子 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)