西武・秋山とイチロー、重なる安打哲学
西武の秋山翔吾外野手(27)の連続試合安打が続いている。12日の日ハム戦では、4回に巡ってきた第2打席にメンドーサのインサイドのボールに力負けすることなく、うまくレフトに運ぶと果敢に二塁を狙った。好返球でアウトとなったが、連続試合安打記録を「31」へ伸ばした。1946年に野口二郎氏(阪急)が作った記録に並ぶ歴代3位タイ。順調に進めば15日の楽天戦で、1979年入団5年目の高橋慶彦氏が、広島時代に22歳で作った「33」の連続試合安打の日本記録に並ぶ。 12日は、第3打席、第4打席にもヒットを続けて、猛打賞は84試合目にして早くも20度を数えた。1972年に張本勲氏が87試合目で到達した最速記録を抜いたが、西岡剛(阪神)が千葉ロッテ時代の2010年に作ったシーズン最多「27回」の記録更新も視野に入ってきた。 秋山がグリップの位置を下げバットを寝かし、点から線への打撃改造に取り組み、その成果が出ていること、メンタル的にも1試合、1打席の気持ちの切り替えがうまくコントロールでき始めたことが、今季のブレイク理由とされている。西武の田辺監督は、王貞治氏に似た間があると絶賛、元祖安打製造機の張本勲氏も、テレビ番組で「軸がぶれない。足を上げる左バッターで、あれだけぶれない選手は過去に3人くらいしかいない」と、王貞治氏、イチローという名前を出してその打法を褒め称えた。 だが、それだけはない。実はあのイチローと、打率、安打に対する考え方に共通点があるのだ。 「率は意識していません。それよりも、意識するのは、コツコツと、チームの勝利に貢献するためのヒットを積み重ねること」 秋山は打率を.387まで上昇させながらも、そういう持論を展開している。 日米で首位打者&最多安打タイトルを獲得、メジャーではシーズン通算最多安打まで塗り替えたイチローも、また率よりも安打数へのこだわりを哲学としてきた。 “打率は割り算。そこを気にすると、打席に立つのが怖くなる。だが、安打数は積み重ねるもの。意識すると打席に立つのが楽しみになる” “打率を下げないためにわざとベンチに下がる選手にもなりたくない” イチローの有名な語録だ。 率を追いかけてストレスやプレッシャーを感じるよりも、減らない安打数を追えば、ストレスがポジティブなモチベーションに変わり、それがチームへの勝利貢献につながっていくという哲学である。首位打者も、最多安打記録も、経験してきイチローならではの考え方だが、秋山もその哲学に近い心持ちで打席に向かっている。