定額減税で一人当たり「4万円」減税されると聞きましたが、手取りが増えていないのはなぜでしょうか?
一人当たり4万円の定額減税と聞いて、6月分の給与が4万円アップすると楽しみにしていた方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際明細を確認するとそれほど増えておらず、がっかりした方も多いのではないでしょうか? 「定額減税」という言葉は耳にするものの、制度は複雑で、本当に得しているのか分かりにくい難点があります。そこで今回は、定額減税について分かりやすく解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
定額減税とは
定額減税とは、各企業が賃上げをするタイミングに合わせて実施される減税で、手取り額を増やすことで、デフレーションからの脱却を狙っているのです。ただし、定額減税の対象となるのは、合計所得金額1805万円以下(給与所得のみの場合は、2000万円以下)になる方のみです。 減税される税の種類は2024年の所得税と住民税で、一人当たり所得税が3万円、住民税が1万円減税されます。労働者だけでなく扶養に入っている家族も一人当たり合計4万円減税されるため、3人家族の場合は所得税が9万円、住民税が3万円、合計で12万円減税されることになります。あくまでも「減税」のため、いきなり給与が12万円増えるわけではありません。
定額減税の実施方法
所得税や住民税は、一人ひとりの収入や家族構成などによって異なります。そのため、定額減税は非常に分かりにくい仕組みとなっています。 それぞれの減税方法を、扶養家族が2人いる3人家族の社会人を例に確認してみましょう。 ■所得税の定額減税方法 まずは所得税の仕組みを、確認しておきましょう。会社員の場合、所得税は毎月の給与から差し引かれています。課税されるのは、月額給与から社会保険料や配偶者控除などの所得控除額を差し引いた額です。 課税される給与額が分かったら、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」で、該当する給与額と、扶養家族の人数が合致する箇所を見ることで所得税額が分かります。 今回は2人の扶養家族がいると仮定すると、定額減税される所得税は9万円です。仮に、ひと月に差し引かれる所得税額が1万円だとすると、最初の月は1万円の所得税が0円になります。9万円のうち残った8万円は、2024年12月分まで翌月の給与や賞与に同じように繰り越される仕組みです。それでも残ってしまった場合は、年末調整時に控除されます。 ■住民税の定額減税方法 住民税は、各都道府県・市区町村に対し支払う税金です。その額は所得などに応じ、それぞれの地域が定めた割合で決定するため、人によって額が異なります。2人扶養している場合、定額減税される額は自身を含め3万円です。 住民税は所得税とは減税方法が異なり、2024年6月分の住民税は、元の額がいくらだったとしても、一切徴収されません。 例えば毎月1万円、年間12万円の住民税が引かれる場合、6月に1万円減税されます。年間支払う残額11万円から、残りの減税額の2万円を引いた9万円を、7月から翌年5月までの11ヶ月で均等に割ります。9万円÷11でおよそ8182円が毎月引かれる形です。 ただし、単身者で所得が多い人の場合、7月以降に徴収される住民税の額が通常よりも高くなる可能性があります。毎月2万円、年間24万円引かれる単身者の場合、6月は一切引かれないため2万円分減税されますが、本来減税されるのは1万円のみです。 そのため、7月からの11ヶ月は、実際6月に引かれるはずのなかった1万円を、22万円(2万円×11ヶ月分)に足した23万円を均等に割って支払わなければなりません。23万円÷11でおよそ2万909円となり、本来支払うはずの2万円よりも、毎月909円多く給与から引かれることになります。