岡田結実と遠藤憲一のやりとりが面白い!癖が強い先輩を演じる城田優にも注目のドラマ「私のおじさん~WATAOJI~」
「働く女性×妖精のおじさん」という一風変わった設定が目を引く2019年放送のドラマ、「私のおじさん~WATAOJI~」(テレビ朝日系)。岡田結実が演じる新人ADの前に、ある日突然"妖精"を名乗るおじさんが現れ、職場や同僚への言えない本音をズバズバとぶちまけていく社会派コメディーだ。 【写真を見る】妖精のおじさん(遠藤憲一)に驚くひかり(岡田結実) ハイスペック男子との婚約を破棄され働き口もない一ノ瀬ひかり(岡田結実)は、やっとのことでテレビバラエティー番組の制作会社に就職。しかし彼女が配属された番組は過酷なロケで有名で、ディレクターの千葉迅(城田優)をはじめとした先輩スタッフもクセのある人物ばかりだった。ひかりは早くも辞職を考えるが、そんな彼女の前に妖精のおじさん(遠藤憲一)が現れ、ひかりが口に出せない心の声を次々と暴いていく。 放送当時の2019年といえばテレビ界が"おっさんブーム"に沸いていた頃。「おっさんずラブ」(2018年・テレビ朝日系)や「メゾン・ド・ポリス」(2019年・TBS系)などが人気を集めていたが、本作ではさらに一捻り加えた「妖精のおじさん」をメインに据えて視聴者の興味をかき立てる。 しかもその妖精を演じるのは、名バイプレーヤーとして不動の地位を誇る遠藤憲一。コワモテで三つぞろいのスーツ姿という渋い風情ながら言いづらい本音を暴くチャーミングな妖精は、彼だからこそ成立したキャラクターだろう。 そんな妖精おじさんとタッグを組むことになるのは、本作で連続ドラマ初主演となる岡田結実だ。1歳で子役モデルとしてデビューしバラエティーやモデル業で活躍していた彼女は、2017年から本格的に俳優活動をスタートした。 岡田が演じるひかりは言いたいことが言えず、自分の意見や夢を持てない、ある意味で最近の若者のイメージを色濃く反映したキャラクターだ。 最初は曖昧に笑い口ごもってばかりだった彼女は、妖精おじさんからの直球アドバイスを受けながら仕事面でも人間的にも大人になっていく。ひかりの成長の軌跡をみずみずしく体現する岡田の演技からは、彼女の俳優としての成長をも感じ取ることができる。 ひかりの先輩たちは全員がクセのある人物ばかりだが、中でも筆頭といえるのは城田優が演じるディレクターの千葉。口が悪く冷徹で、初めてロケ現場に来たひかりのことも足手まとい扱いして切り捨てる、人間的にはかなり残念な人物といえる。 しかしそんな彼も、番組作りにおいては妥協を許さない熱血漢。粗暴な振る舞いの中にも仕事への信念が一本軸として感じられる、そのギャップがなんとも魅力的だ。ぶっきらぼうながら優しい一面を見せる場面もあり、そのカッコよさに惚れ直してしまうこと請け合いだ。 個性的なキャラたちのみならず、ひかりと妖精おじさんとの間に育まれる絆も本作の見どころの一つ。最初は自分にしか見えない妖精おじさんのことを怪しんでいたひかりだが、次第におじさんへの不思議な信頼感が芽生えていく。 そんなひかりのことを時に温かく慈しむような目で見つめる遠藤演じるおじさんの表情は、なんとも胸に響くものがある。最後にはホロリと泣けてしまう2人の絆と、そこで見せる岡田の涙の演技にも注目してもらいたい。 文=本永真理奈
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