ウーバーの配達間違いで、中年1人暮らしのわが家に豪華なピザがやってきた。半分まで食べて気づいたことは…
◆今後は積極的にピザ摂取 今までピザは好きだけど、一枚を買うまでには至らなかった。自然と避けるようになっていた愛しい味は、高校生が憧れの先輩を遠くから見つめているような気持ちだった。 頑張れば一枚食べ切る自信はあるけれど翌日、胃もたれしている自分を想像すると、気が咎める。それでも食べたいときは、余った餃子の皮を使ってフライパンで焼いて、ピザ欲を補給するようにしていた。これが単にピザ生地を同じ小麦粉でできた、餃子の皮を代用するだけ。かなり満足度は高い。あの魅力的なメニューの本格バージョンは、外食で楽しむものだと位置付けていた。 ただ思いがけないトラブルによって、我が家にやってきた宅配ピザはとても美味しかった。ピザを冷凍するという手法も思いついたし、昔、右肩上がりで会社経営をしている先輩が言っていたことも脳裏に浮かんだ。 「ピザの半額キャンペーンが来たら、私、2枚注文することにしているの」 「2枚? 先輩、家族はいないじゃないですか」 「安いときに多めに頼んで、冷凍しておくのよ。サイズも大きいし、スーパーで冷食を買うよりも安いんだから」 敏腕経営者とは些細なシーンで節約を心がけているからこそ、儲けを掴むのだと知った。私も先輩の教えのごとく、半額キャンペーン到来したら、今回、無料でピザを提供してくれたあの店舗に連絡しようと決めている。
小林久乃