緒形直人「おむすび」で19年ぶりに朝ドラ出演。震災で全てを失った男を通じて「心の復興」を描く
NHK総合ほかにて現在放送中の連続テレビ小説「おむすび」は、12月2日より、第10週「人それぞれでよか」を放送中。 ヒロイン・米田結(橋本環奈)の父・聖人(北村有起哉)が営むヘアサロンヨネダと同じくさくら通り商店街で靴店を営む、腕利きの靴職人で、妻と娘を亡くし、商店街の中で孤立している渡辺孝雄役を演じる緒形直人からコメントが到着。今回の出演に対する意気込みや、役作りへのこだわりを語った。 第10週「人それぞれでよか」。商店街で「こども防災訓練」が行われることになった。結(橋本)は若林(新納慎也)に頼まれ“炊き出し隊長”に。炊き出しの献立の参考に、震災時の避難所のことを美佐江(キムラ緑子)に聞いた結は、おむすびをもらったのを思い出す。 結は専門学校の仲間と共に、震災当時、何が炊き出しで出されていたのかを調査する。意外にもメニューが豊富だったことが分かり、それに永吉(松平健)が関わっていたのを聖人は思い出す。孝雄(緒形)との仲直りを美佐江に勧める中、彼女の兄夫婦が震災で亡くなったことを知った結。こども防災訓練の全体打ち合わせに参加した結は、炊き出しの人数が足りないので、手を貸してくれる人がほしいと相談。すると聖人(北村)は、孝雄の名前を挙げる。
朝ドラへの出演は、2004年放送の「ファイト」以来19年ぶりとなる緒形。「社会派ドラマや若者のドラマが多い中、こうした日常を丁寧に描く井戸端会議のような物語は、朝ドラならではと感じているので、お声を掛けていただきうれしく思っています」と感謝の思いを述べた。また、撮影現場であるNHK大阪放送局(BK)については、「雰囲気が良いですね。心地が良いです」と充実感を伝える。 緒形が役作りの中で特に苦労したのは、関西弁での演技だった。「関西弁で演技するのがこれまであまりなかったんですよ。なので、何度も音源を聞いて練習していたら、先日、別のナレーションの仕事で、初めてイントネーションを指摘されるという、自分にとってショックな出来事がありました。関西弁に引っ張られてしまいました(笑)」と、エピソードを披露した。 さらに、渡辺孝雄という役柄に深く入り込むため、撮影中も孤独を意識したという。「なるべく孝雄に近づけるように、撮影中もそうでないときも独りでいるようにしています。台本もあえて孝雄に関係する部分以外は、流し読み程度にしているんです。余計な情報を入れて、孝雄の演技に影響を出したくないから。それだけ孝雄の世界は閉じているんだと思うし。食事のお誘いもいただくのですが、チームの中で異端児でありたいのであえてお断りして、オフの時間も独りでいるようにしていました」と、徹底した姿勢を明かした。