【ブギウギ】「歌で救えない人もいる」…愛子の誘拐未遂を通して描かれた、苦しむ人たちのリアル スズ子の“おせっかい”で生まれる「新たな絆」
今週放送された『ブギウギ』(NHK総合)第24週「ものごっついええ子や」で、スズ子(趣里)は愛子(このか)との「ボタンのかけ違い」に思い悩んでいたところ、追い打ちをかけるように誘拐恐喝未遂事件が起こり、精神的に大きなダメージを受ける。同時に、刑事の高橋(内藤剛志)や、羽鳥(草彅剛)・麻里(市川実和子)夫妻、そして家政婦の大野(木野花)からの助言を受け、スズ子が少しずつ子離れのステップを踏んでいく様子が描かれた。 【写真】犯罪に走ってしまった小田島を熱演した水澤紳吾…体重を落として撮影に臨んだ 結果として愛子は無事で、誘拐も恐喝も未遂に終わり、犯人の小田島(水澤紳吾)は逮捕された。しかし小田島が逮捕されたことで、愛子にできた初めての友達であり、小田島の息子の一(井上一輝)は親戚の家に預けられることになってしまった。また、小田島の犯行動機が「病弱のため仕事にありつけず、一人息子の一を食べさせていけない」というもので、スズ子は複雑な思いだ。そしてスズ子は、これまで自分が歌うことで人を楽しませたり元気づけたりできると思っていたが、それは思い上がりで、小田島親子のような人たちにとっては歌など無力なのではないか、と思い至るのだった。
歌で救えない人もいる
第20週「ワテかて必死や」での、病気と貧しさに苦しむタイ子(藤間爽子)が、幼馴染で大スターになったスズ子が歌う「東京ブギウギ」がラジオから流れるたびに辛い思いをしていたというエピソードにも通じるが、絶えず『エンタメの力』を描きながら、一方で「歌で救えない人もいる」というところまで描くのが『ブギウギ』らしい。 本日3月15日に放送された116回の、スズ子と羽鳥の「せやけど、あの犯人さんみたいな人たちにとっては、どうなんやろ……思て」「難しい問題なんだ。(中略)所詮は余裕のある人間が作って、余裕のある人間たちだけが楽しんでいるんじゃないか。そんなふうに思ってしまうことが僕にもあるんだ」という台詞が胸に響いた。こうしたエピソードを随所で挟むねらいについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。