【公演レポート】「応天の門」佐藤流司がクールな菅原道真に、高橋克典は仕掛けの多さに「目が回る(笑)」
舞台「応天の門」が本日12月4日に東京・明治座にて開幕した。これに先駆け同日昼、ゲネプロと合同取材会が行われた。 【写真】舞台「応天の門」より、佐藤流司扮する菅原道真。 これは灰原薬の同名マンガを、桑原裕子の脚本、青木豪の演出で舞台化するもの。劇中では、菅原道真と在原業平という2人の才人がバディとなり、平安京で起こる怪奇事件を次々と解決する“歴史クライムサスペンス”が展開する。道真役を佐藤流司、業平役を高橋克典が演じるほか、特別出演の花總まり、中村莟玉、高崎かなみ、本田礼生、白石隼也、坂本澪香、青山良彦、八十田勇一、若狭勝也、篠井英介、西岡德馬らが参加する。 開演と共に目に飛び込んでくるのは、ある夜、何者かに女性が殺害されるシーン。彼女の断末魔をかき消すように門扉が閉まり、業平と道真が登場する。さらに平安京を模した大きな舞台美術、色とりどりの衣裳に身を包んだ貴族や庶民が姿を現し、平安の世を舞台にしたスペクタクルを予感させた。 舞台は、人びとの思惑が渦巻く平安京。そこではさまざまな事件が起こり、それらは物の怪によるものとして騒がれるが、実際は人間が意図的に引き起こしたものばかりだった。検非違使の長を務める業平(高橋)と、若き文章生である道真(佐藤)は、遊技場の主人である昭姫(花總)らの力を借りつつ、怪奇の真相を解明していくが、だんだんと宮廷の藤原氏と伴氏の権力争いに巻き込まれていき……。 佐藤は、豊富な知識と優れた洞察力を持つ若き文章生の道真を、冷戦沈着かつ無愛想に演じる。そんな道真の聡明さを買っているのが、高橋演じる業平だ。高橋は、平安京随一の色男とうわさされる業平を体現。書物を読んでばかりの道真に社会経験を積ませるべく貴族の宴会に連れて行く場面では、ぶすくれる道真を温かな眼差しで見つめるなど、大人としての余裕も感じさせた。 ゲネプロ後の合同取材会には、11名のキャストが登壇した。佐藤は「1カ月強の稽古を経て、やっと初日を迎えられるということで非常に興奮しております」と心境を述べる。見どころを問われると佐藤は「明治座の舞台機構ですかね。盆が回ったり、花道やすっぽんを使ったり」と回答。これを受け、高橋は「その分、僕らは目が回るよね(笑)」と苦労を明かした。 源融役の篠井は「10年ぶりに明治座さんに出演するのでうれしく思います。源融は一説によると光源氏のモデルだそうなので、いかに光源氏のイメージを覆せるかを目指しております」と言って笑いを誘う。原作に寄せて怖い顔のメイクをしていると話した伴善男役の西岡は、「伴善男は、応天門の変の犯人と言われている人物。どれほど悪役なのか、楽しみにしていてください」と期待を煽る。昭姫役の花總は「いよいよ初日かと緊張しつつも興奮しております。昭姫には、同じ女性として憧れる部分もたくさんあるので、楽しんで演じたいと思います」と思いを語った。 上演時間は休憩を含む約3時間5分。公演は12月22日まで。 ■ 舞台「応天の門」 2024年12月4日(水)~2024年12月22日(日) 東京都 明治座 □ スタッフ 原作:灰原薬「応天の門」(新潮社「コミックバンチKai」連載) 脚本:桑原裕子 演出:青木豪 □ 出演 佐藤流司 / 高橋克典 / 中村莟玉 / 高崎かなみ / 本田礼生 / 白石隼也 / 坂本澪香 / 青山良彦 / 八十田勇一 / 若狭勝也 / 篠井英介 / 西岡德馬 / 花總まり(特別出演)