「新生・バーガーキング」がブレイクできた理由。「初上陸時の失敗」を分析し、独自のポジションを築くまで
「ラーメン二郎の法則」で話題性を生む
そして、とくに大きいのが「弱者の戦略」をとっていること。先行の大手にできないことをやり、世間で賛否両論がわき起こりそうなことをあえてやっているのです。 飲食業に限ったことではありませんが、万人受けを狙うと、かえって話題になりにくいものです。つまり「賛」だけではなく「否」がなければいけない。賛否両論状態のときは、強烈な信者と強烈なアンチが生まれてきます。 私はこれを「ラーメン二郎の法則」と呼んでいます。ラーメン二郎には「ジロリアン」と呼ばれる強烈な信者がいる一方で「あんなもん食えたもんじゃない」という人もいます。そしてジロリアンの中にもいろいろなタイプがいます。三田本店が一番だ、歌舞伎町店はダメだ、など「賛」の中でさらに賛否が生まれます。当然「否」の中でも賛否が生まれることもあり、そのため話題に事欠かないのです。 こういったことをバーガーキングは新商品のリリースで実践しています。例えばバンズの間にパティが4枚、大量のチーズがとろけ出しているようなもの。どうやって食べればいいのかわからないようなものです。過去の新商品をさかのぼっていくと、そういった奇抜なものが必ずあるのです。こういったものは賛否を生みやすいのです。
機能的なアプリで集客導線をつくる
賛否の「賛」の人たちにバーガーキングに行った動機を聞いてみると、普段はマック派、モス派などという人でも「自分の誕生日の記念に」「SNSに投稿してみたくて」「大きなバーガーを一度食べてみたくて」などということを言うのです。アメリカンスタイルの大きなハンバーガーがあるという話題に接して、ネットで調べてみようといった動機にもなっています。 そしてしっかりとした集客導線ができています。それがアプリの機能性でしょう。最近の若い世代はSNSなどで気になるものを見つけると、すぐにスマホなどで調べます。そこでお得なメニューやクーポンなどを見つけると「行ってみよう」となります。 でも、多くのハンバーガーチェーンでは「アプリが不便だ」などという声を耳にします。使い勝手のよくないアプリだと、そこから来店につなげるのは難しいでしょう。その点、バーガーキングは使い勝手のよい、機能的なアプリになっており、それが若い世代を中心とした導線になったのです。