90秒に1回「日本一過密」福岡空港、新滑走路で混雑緩和目指すが…1時間の処理能力「38→40」2回増
中野国土交通相は10日、福岡空港(福岡市博多区)で整備を進めている2本目の滑走路について、3月20日に供用を開始すると表明した。同30日から始まる新しいダイヤの前に、運用を始めることにした。国交省は「日本一過密」と言われる福岡空港の航空機の混雑緩和を目指すが、1時間あたりの滑走路処理能力は38回から40回への2回増加にとどまるため、効果は限定的とみられている。 【動画】福岡空港の新管制塔を報道陣に公開、空港全体がくっきり
中野国交相「順調に進んでいる」…3月20日供用開始へ
10日午前、福岡県の服部誠太郎知事と福岡市の高島宗一郎市長が東京都内の国交省で中野国交相と面会。服部知事と高島市長から2本目滑走路の早期供用開始を求められた中野国交相は、「工事も施設の飛行検査も順調に進んでいる」と述べ、3月20日から供用開始する方針を正式に伝えた。
面会後、服部知事は報道陣の取材に応じ、「混雑を解消するために一日も早い供用開始をしてほしいという地元の思いをしっかり受け止めていただいた。福岡の産業経済の発展につながることを期待している」と語った。
アジア各地に近い福岡空港は、九州や中国地方西部の国際拠点(ハブ)空港の役割を担っているが、現在は滑走路が1本(長さ2800メートル、幅60メートル)しかなく、90秒に1回の頻度で航空機が利用している。空港の運営会社「福岡国際空港」によると、2024年度のダイヤでも、1日の発着枠を超える要望が航空会社から寄せられたという。
福岡空港を巡っては、国、県、福岡市が03年度から総合調査を行い、抜本的な能力向上策として、海上での新空港建設と現空港での滑走路増設の2案を検討。09年度に麻生渡知事と吉田宏市長(いずれも当時)が地元意見として滑走路増設を求める意見書を国交省に提出し、同省が現在の滑走路の西側210メートルの場所に2本目滑走路(長さ2500メートル、幅60メートル)の設置を決定した。
同省は15年度から事業に着手し、航空機が飛ばない夜間を中心に工事を進めてきた。昨年9月に主要な土木工事は完了し、翌10月から飛行検査を重ねている。事業費は約1643億円。国交省は原則、国際線の離陸専用で運用する方針だ。