パパママ団結放課後見守り 福島市の立子山小全7世帯保護者 支援員不足で児童クラブ廃止 自助運営、課題越え半年
福島市の山あいにある立子山小の全保護者が連携し、放課後の子どもの居場所づくりに乗り出した。保護者は交代で休暇を取るなどし、平日午後に見守り拠点を運営している。昨年度まで市の委託を受けた放課後児童クラブがあったが、支援員不足で廃止になった。保護者はいずれも共働き世帯であるため、今春から「自助」による児童受け入れを始め、課題を乗り越えながら半年間続けてきた。保護者は「みんなが当事者」と活動継続を誓う。県によると全保護者が協力し放課後の見守り活動をするのは異例。 「ただいま~」。立子山小に隣接する旧JA店舗にある「たつこ放課後クラブ」の扉を、子どもたちが元気いっぱいに開けた。クラブの会長を務めるPTA会長寺島正嗣さん(56)がエプロン姿で迎え、児童は宿題をしたり体を休めたり思い思いに過ごす。全校児童は10人しかいないため子ども同士は誰もが顔見知り。日替わりで当番となる保護者や協力する住民と笑顔で会話しながら親の迎えを待つ。
学校がある平日の午後1時30分から同6時30分まで開設している。子どもが立子山小に通う全7世帯の保護者14人が当番制で責任者になる。民生委員、主任児童委員ら地域住民5人も協力し、毎日1人が特に児童が多くなる午後3時から同5時に見守りに加わる。運営に必要な経費は各世帯が出し合い、当番に入った保護者、地域住民に一定の謝礼を支払う。 多彩な経験を積んでもらうため、自然観察会や手遊び、読み聞かせ、紙芝居などを繰り広げ、お月見など楽しく過ごせるイベントを催している。10月31日にはハロウィーンパーティーを開いたばかりだ。地域の伝統や歴史を伝えるため、太鼓演奏や立子山育ちの世界的歴史学者朝河貫一について学ぶミニ学習会なども企画している。おやつは各保護者が購入しそれぞれ運び込む。放課後児童クラブの時は運営者が一括で用意していたが各家庭で好きに選べるのは子どもにとって魅力的だ。最年長の寺島咲絵さん(6年)は「みんなでおやつ交換ができる」と笑顔を見せる。
春先は試行錯誤の連続だった。放課後児童クラブの時に少なかった児童みんなで活動する時間を設けたものの、児童が徐々に束縛感を抱くようになった。まとめ役を担った最年長の児童に負担をかける事態にもなった。6月初旬に緊急保護者会を開き対応を協議するなど、浮上した問題一つ一つに向き合い、より良い運営を模索してきた。寺島正嗣さんは「保護者としても気付きを得られる機会になっている」と話す。次年度以降も継続を目指している。