地裁の死刑判決から3年10カ月…日置5人殺害事件、30日に控訴審初公判
2018年に鹿児島県日置市東市来町湯田で男女5人が殺害された事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われ、一審の鹿児島地裁で死刑判決を受けた無職岩倉知広被告(45)の控訴審初公判が、30日に福岡高裁宮崎支部で開かれる。岩倉被告は20年12月に地裁判決を受け、即日控訴していた。 【写真】〈関連〉日置市の位置を地図で確認する
控訴審の日程について、5日までに検察側が遺族に通知した。地裁判決によると、岩倉被告は18年3月31日から4月1日、祖母方で、父親と祖母の首に腕を巻き付けるなどして窒息死させ、近くの山中に遺棄。同6日には、安否確認に訪れた伯母とその姉、伯父の知人を同様に窒息死させた。 一審では、被告の妄想性障害が犯行に与えた影響を巡り、完全責任能力の有無が争点となった。検察側は「程度は軽微で、完全責任能力がある」と死刑を求刑。弁護側は「障害の影響は著しく、責任能力は限定的」と主張していた。 判決は「妄想に指示、支配されるような状況にはなかった。被告人にもともとあった衝動的、攻撃的、自己本位的、他罰的な性格が大きく影響している」として完全責任能力を認めた。
南日本新聞 | 鹿児島
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