大泉洋、吉田羊の“タイムスリップ女優”疑惑に阿吽の呼吸で乗っかる 宮藤官九郎脚本『終りに見た街』で夫婦役に
■子どもたちの描かれ方に感じた恐ろしさ ――『終りに見た街』は、ラジオドラマや舞台作品にもなり、ドラマ化は今回が3度目となります。 大泉:時代によって戦争に対する考え方も違うので、何度リメイクしても意義のあるドラマだなと思います。 吉田:今、正に世界で戦争が起こっているからこそ、皆が自分ごととして捉えられるのではないかと。自分で調べて、情報を集められる時代ですから、ぜひご家族でご覧いただいて、戦争について考えるきっかけにしていただきたいです。 ――戦時中にタイムスリップする家族を演じた感想を教えてください。 大泉:僕が演じる太一は、羊ちゃん演じる妻のひかりに頭が上がらなくて、2024年のリアルな夫婦の姿が描かれているんです。一念発起したときに、普段は厳しい妻が賛成してくれて喜ぶところは、とてもかわいかったですね。令和版で特に恐ろしさを感じたのは、子どもたち。現代社会に適応できない子どもたちが、何も考えず、流されて生きる戦時下のほうが楽だと感じて「国のために戦うんだ、悪い奴らをやっつけるんだ」という思考になってしまうのですが、確かに今の時代なら、こう考える子がたくさん出てくるかもしれないと怖くなりました。父親の視点で「それじゃダメだ」と考えさせられましたね。 吉田:私は、戦時下の設定でのお芝居をするのは今作でまだ2度目なんです。当時の格好をしてその時代の人々と対峙したとき、お芝居でも恐ろしくて。実際に戦時下で生きていた方にとってどれほど怖かったのか、どれほど絶望的な思いで生きていたのかと思うと、ぞっとしました。令和版では、原作にはないオリジナルキャラクターで、三田佳子さん演じるおばあちゃんの清子さんが登場します。唯一の戦争体験者である清子さんのアイデアによって、家族が戦火を生き抜いていくことになるのですが、三田さんが紡ぐ台詞、たたずまいにはとても説得力がありました。 大泉:約40年前にドラマ化されたときは主人公に戦争の記憶がある設定でしたが、今作は2024年の物語ということで、代わりに戦争を知るおばあちゃんを登場させて、家族が頼っていくという宮藤さんのアイデアがすごい。認知症が少し始まっていることも相まって、コメディ要素も交えながらストーリーが展開していくのですが、三田さんのお芝居が本当に素晴らしかったです。