秋田大学自動車部の先輩たちを追いかけて、DIYでダイハツ「エッセ」をサーキット用に!…「東北660選手権」期待の若手を紹介します
強敵揃いの3クラスに初心者ながら参戦
軽自動車レース「東北660選手権」のなかでも、表彰台を獲得できる回数に制限を設けることで、自然と上位クラスへステップアップが促されるため、新人が台頭しやすい「3クラス」。今シーズンもフレッシュなドライバーたちが表彰台の常連となり、それを追う第2グループの顔ぶれも徐々に固まりつつあるという状況に。2024年8月27日に開催された第3戦で初入賞となる2位を獲得した、秋田大学自動車部の小林光司選手はその筆頭といえる存在です。今回はそんな小林選手を紹介します。 【画像】自作パーツ満載! 大学生がコツコツ仕上げたレーシング「エッセ」を見る(10枚)
確実に経験を積み2年目でシングルフィニッシュも経験
参戦したきっかけは自動車部の先輩たちで、彼らの背中を追い2023年の開幕戦にエントリー。レース慣れしていない初心者が対象の5クラスではなく、先輩らと同じステージで戦うべく3クラスに飛び込んだ。結果は予選を通過できず、予選落ちしてしまったドライバーによるコンソレーションレースとなってしまった。しかし、それ以降は地道に練習を重ねテクニックを磨きながらデータを蓄積し、東北660耐久レースにも同じマシンで参加して走り込んできたのだ。 次世代のエース候補として注目されたのは2024年の第2戦。予選からポジションをひとつ下げたのは反省点ながら、過去の戦歴を大きく上まわる8位でフィニッシュした。殻を破ったドライバーが急成長することは往々にしてあり、第3戦では準優勝と大躍進しトップ勢とのバトルも経験している。
DIYも駆使してマシンメイク
2025年の3クラスを牽引することになりそうな、小林選手の愛機L235型ダイハツ「エッセ」のマシンメイクをチェックしてみたい。まずベース車はタマ数が多く価格も安いATモデル。それを自分で載せ替えするだけでなく、公認車検まで取得したというのだからすごい。 自作パーツが多いのも見どころ。ステアリングコラムのメーターは、基盤はもちろん動かすためのプログラムも自ら手がけたそうで、エンジンの回転数と車速を表示することができる。もっとも、最初は正確に動かずテストを繰り返し、ようやく実用的と呼べる域に達したとのことだ。 もうひとつ見逃せないのはインテークパイプで、より効率が高い形状をシミュレーションで弾き出し、現在の径と長さおよび角度にたどり着いたという。タイムや順位で上を狙うのと同時に、オリジナリティを追求するのも小林選手のこだわりだ。ほかにも3Dプリンターを駆使して製作したナンバープレートカバー、室内に移設したバッテリーケースなど「小林オリジナル」は多数ある。 さらに上を目指すための課題はコーナリング速度で、可動式エアロパーツを作れないか考えているという。また自動車部としてのレベルを高めるため、後輩の育成にも力を入れていきたいと話す。自分を超えるドライバーが出れば今以上に気合いが入り、さらに下の世代へ経験や知識を継承していけるに違いない。 自身のレース活動と部活の双方にとって、大きな糧となるであろう2024年シーズン。ハイレベルなバトルを経験したうえ表彰台に立つ喜びも知り、来年は最大の激戦区である3クラスを牽引する存在になりそうだ。
佐藤 圭(SATO Kei)
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