大阪・地下道の串カツ「松葉」13日から休業で今後未定
大阪北区梅田にある地下道の拡幅工事に伴い、そこで営業する串カツ店「松葉」などに対し大阪市が道路法に基づき退去を命じる除却命令書を出すなど立ち退きを求めている問題で、大阪地裁は12日に松葉が出していた同命令書の執行停止申し立てを却下する決定を出した。同店は13日から休業しており、今後の営業は未定だという。同所を通る人らが、閉店状態の同店を撮影する光景も多く見られた。
松葉は1949年に大阪駅で開業し、その後、今回の地下店もオープンさせている。同市は「松葉」など同地下道で営業する飲食店などに1年ごとに地下道の「道路占用許可」を出していたが、阪神百貨店建て替えに伴う地下道の拡幅工事のため、占用許可の更新を昨年9月で打ち切った。松葉は「一方的に退去を決められた」として今年4月、同市に地下道占用許可更新を求め提訴。大阪地裁で争っている。 市が10日を期限とした除却命令書を出していたが、松葉など5店舗は10日以降も営業を継続。これに対し同市は11日、行政代執行法に基づいて12日までに退去を求める戒告書を交付していた。 同時に強制撤去に向けた手続きを開始。期日までに自主的に退去しなかった場合は、店の設備などを強制撤去する。ただし、その撤去費用は店側が負担することになるという。 11、12両日とも、松葉は通常の閉店時間より早い午後7時までに閉店。11日は「あしたもやるの?」という客の問いに同店関係者は「やります。早めに来て頂ければ」と答えていたが、12日は同じ質問に対し「う~ん、ちょっと難しいかな」などと話していた。 13日も朝から閉店状態の松葉の前を通っては手持ちのカメラで「記念撮影」をする人も多く、中にはカップルや友人同士で並んで記念撮影している光景もいくつか見られた。撮影していた神戸市の40代の男性は「もう、ここにあったという歴史はみんなの思い出に刻まれてる思うんで、無理せんでええんちゃいますか。僕もよく食べてたんで、ありがとうという感じです」と話した。 大阪市生野区から来たという60代の男性は「退去やなんや言うて争う最後は残念。終わるなら笑顔で終わってほしかった」などと寂しそうに話していた。 店舗の壁には「おしながき」が張られており、それを見て「安いよなあ。これがうまかったんや」と語りあう年配男性らの姿も見られた。