【内匠宏幸】緊急補強の決断は…岡田彰布が苦慮する貧打線は危険水域に
朝、ネット速報を見る。そうしたら…、また打っている。ドジャースの大谷翔平だ。2試合連続の先頭打者本塁打。これで今シーズン25号。6月の勢いはすさまじい。 それに比べて…って、比較対象にはならないけれど、タイガースの6月の失速ぶりは目を覆いたくなるもの。とにかく得点できない。点を取れても1点か2点。これで、よくもまあ2位にいるというのも立派といえば立派だが。 日刊スポーツの6月27日付を読む。真っ先に確認したのがチーム成績表。6月26日現在でチーム打率は2割1分8厘。2割2分を切っている。もちろんリーグ最低(パ・リーグの西武は2割1厘)で、チーム本塁打は28本。大谷1人よりたった3本上回っているだけだ。 このチーム打率がいかに低いか。過去の長い歴史の中、1シーズンの最低チーム打率は2割2分という記録が残っている。2リーグ分立後、1965年がそのシーズンでリーグ最低打率だったのだが、最終順位はAクラスの3位。当時の開幕メンバーは吉田-鎌田-山内-遠井-藤井-並木-フェルナンデス-辻佳-バッキー。なかなかのメンバーという印象は強いが、シーズンを通して「投の阪神」というチームカラーを脱することはできなかった。 もう1年は1971年で、村山実が監督の時。このシーズンの開幕メンバーは藤井-安藤-藤田-遠井-カークランド-和田-後藤-辻恭-江夏だった。さすがにシーズンは5位に沈んだが、やはりチーム打率がここまで低いとなれば、なかなか勝ちに結び付かないのは当然である。 阪神の歴史上、チームの最低勝率は1978年、後藤次男体制での41勝80敗9分けの3割3分9厘。この時でもチーム打率は2割5分4厘だった。いまの2割1分8厘がいかに低い数字か。過去のデータが如実に表している。 このような負のデータばかりを出したが、まさかこのまま終わるわけではない。必ず数字を上げていくはずと信じたいけど、残念ながら強調材料が乏しすぎる。監督の岡田彰布もさすがに手の打ちようがない状態で、采配で打開しようにも、2割1分8厘打線では苦しい。 そこで最も手っ取り早いのが補強…になるのだが。それも外国人の緊急補強は、時に強烈なカンフル剤になるケースもある。現状、ノイジー、ミエセスの2人に大望みはできない。1人は先発メンバーを外れ、1人は2軍だ。とてもチームを変貌させるだけの材料ではなく、それだけの新外国人、また日本にいて2軍でくすぶっている経験のある外国人に的を絞るのも。 球団として、アクションは起こしてはいないが、準備は常に整えている。獲得期限まで、まだ間がある。岡田は否定するかもしれないが、球団主導で手を打つことが必要な時期に差しかかっている。このままでは、いくら「投の阪神」といえども、投手陣が崩れる危険性は十分にある。球団と現場の判断はいかに…。(敬称略)【内匠宏幸】 (ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)