周囲に訊いた、ヨシロットンの知られざる素顔とその人柄
アーティストのヨシロットンのまわりには多くのクリエイターが集まっている。さまざまな分野で活躍をしている6人の仲間たちに、協業やプライベートを通して見えた素顔や人柄について話を訊いた。 【写真】ヨシロットンを知る、さまざまな分野で活躍する6人のクリエイターたち
ひと目でわかる、圧倒的な個性とバランス(宇多田ヒカル)
今年、大きな話題となった音楽作品のひとつが、宇多田ヒカルのベストアルバム『サイエンス フィクション』だ。宇多田はこの記念碑的作品のアートワークについて思案している時に、知人からヨシロットンを紹介され、彼の世界観や枠に収まらない活動に共感。その日のうちに依頼したという。ヨシロットンの魅力については、「さまざまな肩書やメディウム、ストリートからハイブランド、これだけ幅広い活動の中で作品のどれもがひと目でヨシロットンさんのものだとわかる個性とバランス感覚」と語ってくれた。
作品の背景を語る、グラフィックに驚嘆(真鍋大度)
音楽を愛するふたりは、DJでの共演を機に友人関係に。その後、協働プロジェクトを進めた際に作品のクオリティの高さに驚いたという。「当初、ダンスパフォーマンスのフライヤー用のグラフィックを依頼したのですが、その内容が予想以上に作品の背景を物語るものだったので、作品本体にもそのグラフィックを使わせてもらいました」。また、仕事の進め方にも共感したそう。「手を動かしてアウトプットを見せてくれるところが、自分たちのようにプログラムをゴリゴリ書く、ハッカー文化に近い気がします」
感覚的なだけでない、ロジカルな仕事術(小川 哲)
ともに通っていたバーの周年企画でコラボ作品を展示することになり、店長が引き合わせて初めて対面したふたり。「アーティスト然とした方を想像していましたが、実際はロジカルな面も持ち合わせていて、話も明快でした」。宇宙をテーマにした作品制作は、小川哲の短い文章とヨシロットンのグラフィックでキャッチボールを続けて完成した。「絵と交わることで僕の文章表現が変わっていくようで面白かったです。彼の作品は感覚的で難解に思う面がある一方、アートに詳しくなくても理解できる面もあると思います」
過去の傑作に、新たな生命を宿すセンス(南塚真史)
数多くのアーティストを目にしてきた南塚真史。「2018年の個展を見て、可能性を感じました。グラフィックデザイン出身のアーティストは多いけれど、彼のオリジナリティは気になりましたね」。また、南塚のギャラリーに所属するイラストレーター山口はるみとのコラボを絶賛。「エアブラシを使った彼女の古典的なペインティングをレンダリングし、3DCG化しました。現代的なグラフィックのように見せ、新たな生命を吹き込んでいます。作品に対する理解とセンスを要す技。時代をつなぐアーティストだと感じています」
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