【高校サッカー選手権】2年連続出場の堀越。勝利を手繰り寄せた裏打ちされた冷静さ
第103回全国高校サッカー選手権東京予選2次予選Bブロック決勝が駒澤オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われ、堀越と実践学園の間で争われた。試合は延長戦の末、3-2で堀越が勝ち、2年連続6回目の全国行きを決めた。 【フォトギャラリー】堀越 vs 実践学園 先制は堀越。前半2分、右サイドの展開からMF22 杉村充樹(2年)のクロスからFW10三鴨奏太(2年)が決め、先手を取った。堀越、実践学園ともに攻め合うなか迎えた後半31分、堀越がペナルティエリア内でハンドの判定を取られ、実践学園がPKを獲得。これをキッカーMF 5 寺田聡(3年)が決め、1‐1の同点に。前後半で決着つかず、10分ハーフの延長戦に突入。 延長前半7分、実戦学園は右サイドから代わったMF13岩岡向陽(3年)のパスにゴール中央FW19本間貴悠(2年)が押し込み、逆転に成功。延長前半終了直前、左サイドFW10 三鴨のクロスにDF4森奏(3年)が頭で合わせ、2-2の同点に。さらに延長後半7分、堀越はPKのチャンス。これをFW10三鴨が決め、3-2とし試合を決めた。 「勝ちにいくのではなく、負けないようにどう試合を作っていくか」と堀越・佐藤実監督。この言葉に100分間の戦いが凝縮されている。 その担保となるのが堅い守備。実践学園の両サイドの攻勢にさらされながらも跳ね返した堅守は、現在J1で最少失点「31」を誇るFC町田ゼルビアを参考にしているとのこと。体を張った逃げない守備が奏功した。またシュート数を見ると実戦学園の7本に対し堀越は18本。延長戦では実戦学園に1本のシュートも打たれてないなど、攻守のメリハリ、あるいは循環がうまくいった。 とともに堀越から伝わるのはチームが共有する冷静さなるもの。それは単なる楽観主義ではない、緻密で明快なものに見えた。そう感じたのは1‐1で迎えた後半終了間際、80分のシーン。堀越は左サイドからFW10 三鴨のクロスをDF4森がヘッド。これがバー直撃。こぼれ球を拾ったFW10 三鴨が立て続けにシュートを放ったが、相手GKの好セーブに阻まれた。 ふいになったビッグチャンス。それでも堀越イレブンに動揺はなかった。 「(あのようなシーンになると)焦れて延長で沈みがちですが、選手たちは冷静でどのようにゲームを作っていくか、プランニングがありました」(佐藤監督) 「(あのシーンで)決めらなくても絶対に取れる自信はありました」(FW10三鴨) 実際、FW10三鴨は有言実行を果たしている。同じ展開からDF4森へのゴールをアシスト。そしてPKを決め、2ゴール1アシストの活躍。「延長戦で勝ち越されたとき、『終わってしまうのかな』とよぎりました。状況は最悪でしたが、ボールは持てていたので、このまま押し込めば、勝てるかなと感じていました」と確固たるプランを粛々と遂行できたことが勝因のひとつ。 選手主導のボトムアップ方式を採用する堀越。その強みが発揮されたゲームとなった。 (文=佐藤亮太 写真=矢島公彦)