今季初の甲子園での伝統の一戦はまさかの幕切れ
◆JERA セ・リーグ 阪神1―1巨人=延長10回雨天コールド=(16日・甲子園) 【写真】選手交代を告げる際に笑顔を見せる阿部監督 巨人は阪神と今季初めて敵地・甲子園での3連戦を迎えたが、10回表降雨コールドで1―1のドローに終わった。先発の山崎伊織投手(25)は7回5安打1失点の力投も2勝目を逃した。昨季のMVP右腕・村上との緊迫の投手戦を展開。3回には自ら適時打を放って先取点を奪ったが、守備のほころびから追いつかれた。首位・中日が勝って0・5ゲーム差に開いたが、阿部慎之助監督(45)はミスも出ながら甲子園初戦で負けなかったことを評価した。 大雨に打たれながら球審が本塁付近でゲームセットを宣告した。阿部監督の甲子園での公式戦初戦は降雨コールド引き分けで幕を閉じた。1―1で9回終了後、延長に入る前に暴風雨となり7分間の中断。雷で上空が光るたびに場内がどよめく異様な雰囲気の中、グラウンドに水が浮いて続行不可能と判断された。「ミスも出て、負けなかったのが大きいかなと思います。完全に負けゲームだけど」とプラスにとらえた。 1点リードの7回1死二塁、木浪の投ゴロで二塁走者の植田が飛び出した。挟殺プレーとなったが、アウトにできずオールセーフで二、三塁。記録は野選となり、続く代打・糸原の右犠飛で同点に追いつかれた。 この場面、打球を処理した投手の山崎伊は、植田を追いかけて三塁の坂本に送球。坂本は二、三塁間にいた遊撃の門脇ではなく二塁ベース上の二塁・吉川に送球した。二塁を狙った打者走者の木浪を先にアウトにした後、植田をアウトにしようとした高度なプレーだったが二塁はセーフ。吉川が再び三塁・坂本に送球したが植田にタッチできず、結果的には裏目に出た。 阿部監督「次のランナーを(打者走者を二塁で)先にアウトにしようとしたんだろうけど状況判断ですよね。とにかくアウトカウントを増やす場面だったし、2、3点勝ってればいいけどね。そういう状況判断ができなかったというのが」 川相内野守備コーチ「あの1プレーで2つ(アウトを)勇人(坂本)が取ろうと思った。先に打者走者を二塁で、と思って。1つでもアウトを取れたら良かったけど練習していたプレーなのでね。アイデアとしては悪くなかった」 飛び出してしまった植田からすれば、二、三塁間で粘り、打者走者が二塁に進む時間を稼いでから自身がアウトになり、最低2死二塁を狙う状況。それに対して2つのアウトを狙いにいった坂本は「伊織に申し訳ないです。1個取る場面だったかなと。ジャッジミスです」と責任を背負った。 昨年3勝10敗と大きく負け越した甲子園。今年初戦で勝てなかったが、負けなかったことは価値がある。「ああいうミスが出たら本当は負けるんだけどね。伊織が頑張って投げてくれて、よく1点で抑えた。敵地でやる時って細かいミスが命取りになる。もう一回気を引き締めて。みんなスイッチ入ると思うので明日に期待しようかなと思います」と阿部監督も前を向いた。 6連勝中といい雰囲気で甲子園に入り、吉川、坂本の好守備やオコエの好走塁など好材料もあった。チーム防御率1・83はリーグトップに浮上。反省と課題を消化して再び上昇気流を加速させる。(片岡 優帆)
報知新聞社