渋谷区の旧「富山臨海学園」がカフェや研修施設に 南房総の岩井地区(千葉県)
南房総市久枝にある、東京・渋谷区所有の施設「旧富山臨海学園」が、複合施設「SHIBUYA IWAI PARK(SHIP)」として生まれ変わった。この夏、カフェスタンドやキャンプ、研修施設として、プレオープンした。不定休で、通年営業の予定だ。施設を運営する南房総市の「南房企画」の牧野圭太代表は「岩井海岸の休憩所的な存在になれれば」と話している。 旧富山臨海学園は、1955年の開設。2018年に廃校となるまで主に渋谷区内の子どもたちの臨海学校の際に使われていた。 牧野代表は、渋谷区でデザイン会社「DE」の共同代表を務めている。21年に、岩井地区に遊びに来た際に、偶然、校舎を見掛けた。教育棟、体育館、宿泊棟を兼ね備えた施設を見て「すごいポテンシャルがある」と直感したという。海が近くて自然が豊かな岩井地区が気に入っていたことから、「地域振興の一助になりたい」と決意。区のプロポーザルに手を挙げた。施設の運営に向け、「DE」の関連会社として南房企画を設立して施設を借り、建物の改修に取り組んできた。 施設の面積は、教育棟が3階建て延べ1351平方メートル、体育館が634平方メートル、宿泊棟が2階建て延べ870平方メートル。 教育棟を使ったカフェスタンドでは現在、コーヒーやソフトドリンク、ジェラート、地ビールなどを販売中。定休日や営業時間は未定。 キャンプの宿泊と、バーベキューの器具の貸し出し、館山ジビエセンターから仕入れたイノシシ肉の販売も好評で、すでに東京の複数の会社が、日帰り研修で利用しているという。 今も改修中の宿泊棟は来年のオープン予定。それをもって施設全体のグランドオープンとする予定だ。収容人数は50人ほどを見込む。 岩井海岸は、教育旅行や合宿などで訪れる児童生徒や学生の利用が多く、地元の民宿が宿泊の受け皿となっている。一方、SHIPは都内の企業の団体研修や、リモートワークをする会社員などを宿泊事業の主なターゲットとしている。 「渋谷とのつながりという強みを生かし、岩井海岸に新たな客層を引き込めれば。都市と地域は争うのではなく、補完し合っているもの。お互いの人や資産が循環する拠点になれれば。地元の人も都会の人も来られる、開かれた場所にしていきたい」と、地域振興にかける思いを語った。 詳しくは、SHIPのホームページへ。 (前木深音)