功労者や時の人を招待 毎年春と秋に開かれる「園遊会」とは?
天皇、皇后両陛下の主催で11月12日に東京・赤坂御苑で開く秋の園遊会は、各界から2400人が招待されます。園遊会は毎年春と秋に催され、広く関心を持たれる「時の人」が招待者として話題にもなります。園遊会って何のために開くの? どうやって招待者が選ばれるの? 実際に招待された人の話などからその様子を描いてみました。 高倉健さんも受章した「文化勲章」って何?
各界の功労者や時の人、震災関係者も
ドラマや映画の場面にもよく設定される野外の園遊会は、ヨーロッパから伝えられて明治時代初期に日本でも行われるようになり、天皇主催の催しとしても同時期に始まったとされています。天皇を神格化した戦前の「現人神(あらひとがみ)」から、戦後は皇室の民主化にも沿って幅広い国民と皇室が接する機会としても位置づけられているようです。 このため、宮内庁によると現在は衆・参両院議長、内閣総理大臣、最高裁長官など立法、行政、司法の関係者や各国の外交官など「官」のグループと、民間を中心にした各界の功績者の合わせて2000~2600人が配偶者も含め毎回招待されています。各界の功績者とは、宮内庁の説明で産業、文化、芸術、社会事業などの分野で功労があった人です。官のグループでは都道府県知事や市町村長、議会議長らも招かれます。 12日の園遊会は、皇太子妃雅子さまの12年ぶりの出席が注目されるほか、招待者では、漫画家の水島新司さんやiPS細胞の臨床研究で大きな成果を上げた理化学研究所の高橋政代・プロジェクトリーダーら話題の人々も招かれています。震災などの被災者を励ます機会を重ねる天皇、皇后両陛下の姿勢の反映か、復興に取り組む各地の関係者らの招待も頻繁です。
「鉄道が復旧してよかったですね」
今年4月21日の春の園遊会に、夫人とともに招かれた三陸鉄道(岩手県宮古市)の望月正彦社長(63)もその1人でした。三陸鉄道は2011年3月11日の東日本大震災で北リアス線と南リアス線が不通になりました。しかし、数日後には北リアス線の一部区間で無料の「復興支援列車」を走らせて沿線被災者を励ますなど、会社挙げての鉄道・地域を守る挑戦が大きな反響を呼びました。そして昨年4月には全線で運行再開にこぎつけました。 園遊会に臨んだときの様子について、望月社長は「緊張で記憶が薄れている部分もあります」と言いながらも、陛下から「大変でしたね。鉄道が復旧してよかったですね」と話しかけられました。望月社長は「多くの皆さんからご支援をいただきました。ありがとうございます」とお礼を述べたとのことです。このときは青色LEDの発明でノーベル賞を受けた赤崎勇・名城大終身教授らも招かれていました。