6月2日は裏切りの日!『密輸 1970』W主演キム・ヘス&ヨム・ジョンアの注目ポイントは?
本日、6月2日(日)は裏切りの日。1582(天正10)年のこの日、本能寺の変で、明智光秀が織田信長を裏切って攻め入り、本能寺で織田信長が自害したことに由来しているそう。そんな“裏切り”をモチーフにした韓国映画『密輸 1970』が7月12日(金)より全国公開される。 【写真を見る】キム・ヘスとともに主演を務めるヨム・ジョンア 映画『密輸 1970』では、生きるために密輸ビジネスに身を投じた平凡な海女たちが、カリスマ密輸王や野心家のチンピラ、さらに鬼の税関らクセモノたちを相手に、裏切りと騙しあいが渦巻くなか、一攫千金をかけた大勝負を挑んでいく姿を活写した海洋クライム・アクション。物語の舞台は1970年代半ば、韓国の漁村クンチョン。海が化学工場の廃棄物で汚され、地元の海女たちが失職の危機に直面する。海女のリーダー、ジンスクは仲間の生活を守るため、海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことに。ところが作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りとなり、彼女の親友チュンジャだけが現場から逃亡した。2年後、ソウルからクンチョンに舞い戻ってきたチュンジャは、出所したジンスクに新たな密輸のもうけ話を持ちかけるが、ジンスクはチュンジャへの不信感を拭えない。密輸王クォン、チンピラのドリ、税関のジャンチュンの思惑が絡むなか、苦境に陥った海女たちは人生の再起を懸けた大勝負に身を投じていく。 友情や欲望が渦巻く本作でダブル主演をつとめ、時にはぶつかり合いながら共闘する海女を演じているのが、韓国で国民的俳優として愛されるキム・ヘスとヨム・ジョンアだ。 監督のリュ・スンワンは2人の主人公チュンジャとジンスクを演じる女優をキャスティングする際、ヘス、ジョンアを同時に思い浮かべたという。チュンジャ役のヘスは『タチャ イカサマ師』(08)や『10人の泥棒たち』(12)などで見せたファムファタール的な魅力からさらに表現の幅を広げ、頭の切れと要領の良さで渡り歩く度量をみせる。そして大ヒットドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」で子どもを一流大学に入れるために血眼になるセレブ妻を演じ強烈な印象を残したジョンアは、本作では一転して化粧っけがなく、慎重で義理堅い海女のリーダー、ジンスクとして、そのカリスマ性を発揮している。 実はヘスとジョンアは意外にも映画での共演は初めて。韓国での制作会見で、ヘスはジョンアと共演だと聞いて歓声をあげたと話し「一緒に撮影しながら、私が思っていたよりもはるかに素晴らしい俳優だとわかりました。特に私の足りない部分を補ってくれました」とコメント。一方のジョンアも「本当に最高でした。どんな現場よりも幸せで、いま考えてもとても恋しく涙が出そうになるくらいの撮影で、その中心にキム・ヘスさんがいました」と相思相愛で、劇中でみせるお互いの信頼と、裏切りに疑心暗鬼に陥る場面での丁々発止の演技合戦は見ごたえ十分。 さらに「女性主人公を前面に押し出した犯罪映画を撮りたい」と熱望したスンワンの熱烈オファーを振り返り、ヘスは「女性が中心の映画企画はあまり多くないので、そんな作品が企画されたということがとてもありがたく、その作品が私に依頼が来たことはとても嬉しかった」と本作への思い入れも強い。名作『テルマ&ルイーズ』(91)のように、運命共同体となった女性2人の活躍に注目だ。 1970年代の大衆歌謡曲とファンキーな音楽、カラフルなファッション、そしてスリリングな海洋アクションで人間の本質に迫っていく本作。衝撃の実話から着想を得てたという驚きに満ちた物語を劇場で堪能してほしい。 文/スズキヒロシ