吉沢亮「キングダム」でアカデミー賞再び “天陽くん”の出会う力
吉沢亮が「キングダム」で第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞に輝いた。前回は二階堂ふみの相手役を務めた「リバーズ・エッジ」で新人俳優賞を受賞したので2年連続、ひのき舞台に立った。新陳代謝の激しい芸能の世界では次々と後進が育ち、若手といえどサバイバルレースに身を置かざるを得ない。とくに新人賞で注目を集めたその翌年の活躍は真価が問われるところであり、今回、最優秀助演男優賞をつかんだことは大きい。3年前の取材時から、吉沢が培ってきたものを振り返ってみたい。
「キングダム」出演と朝ドラ「なつぞら」天陽役で一躍ブレーク
6日に都内・グランドプリンスホテル新高輪で行われた授賞式は、折からのコロナウイルス感染拡大の影響を受けて一般入場者の来場を中止、報道陣も入れずに行われる異例のスタイルとなった。「新聞記者」が最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(松坂桃李)、最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)の主要3部門を制するなか、「キングダム」は吉沢の最優秀助演男優賞をはじめ最優秀助演女優賞(長澤まさみ)、最優秀撮影賞(河津太郎)、最優秀美術賞(斎藤岩男)と最多の4部門受賞を果たした。 吉沢の順調ともいえる躍進には「作品に恵まれている」という役者にとって大切な要素があげられる。「キングダム」は2019年度の邦画興行収入で実写映画ではトップに立った人気作だ。本人の努力はプロだから当然としても、良い作品や話題になるような作品との出会いに恵まれなければ、その努力も発揮するチャンスがない。 昨年はさらに、NHK連続テレビ小説「なつぞら」にオーディションを受けてキャスティングされ、広瀬すず演じるヒロイン・なつの幼馴染みの画家・山田天陽を好演。途中なつが東京へ行ってしまったので北海道に残った天陽の出番は大幅に減ったものの、物語終盤で再び強いインパクトを残した。36歳の若さで世を去った天陽の最期、麦わら帽子を投げて畑に倒れ込む芝居は朝ドラ史に残る美しい場面ともいわれ、“天陽ロス”を巻き起こした。吉沢亮の名を全国に広めるきっかけとなった。