代打・鳥谷がコールされたら甲子園は大きな歓声が起きた。交流戦は順位に大きく影響するよ。データも必要だが感性も大事【岡田彰布のそらそうよ】
オレも身を乗り出した鳥谷の甲子園凱旋
5月25日のロッテ戦、8回に岩崎がマーティンにまさかの逆転2ランを浴びて敗戦。変化球でかわしたのが悔やまれるし、交流戦は感性も重視して勝負してもらいたいよな[写真=毛受亮介]
新型コロナ禍により、球場は入場制限がかけられている。甲子園もそうだ。まばらなスタンド。寂しいけど仕方ない。早く満員のスタジアムが戻ってほしいものである。 5月25日、さあ、2年ぶりの交流戦のスタートだ。甲子園は注目のカードが組まれていた。阪神対ロッテ。オレはデイリースポーツの評論の仕事で甲子園にいた。すると少ないファンから大きな歓声と拍手が起きた。敵も味方も関係ない。「代打・鳥谷」がコールされたとき、甲子園は特別な空気に包まれていた。 鳥谷敬が甲子園に帰ってきた……。やっぱりこれを待っていたんだ。ファンの思いが伝わってきた。オレもそうやった。鳥谷はやはり思い入れの強い男なんで、記者席から身を乗り出すほど、熱くなっていた。 2004年、監督1年目のときに入団してきたのが鳥谷やった。早大の後輩ということ以上に、オレは鳥谷の力量を評価していた。特に守りに関しては十分、プロ野球でやっていけると思った。だから当時のトラ番に「この先、10年はショートの心配はせんでエエ」と予言したもんよ。 そのとおり、鳥谷は成長し、ショートのポジションを守り続けた。しかし、チームの方針により、ポジションを奪われ、ついに戦力外通告を受けた。このプロセスもオレのときと同じなので、より気になる存在になっていた。そして新天地を求め、ロッテに移籍。阪神のまま引退すれば……という声が強い中、あえてパ・リーグに行った鳥谷。気持ちは理解できた。このままでは終われない、終わりたくない。そんな心が鳥谷を突き動かしたのだ。 交流戦初戦・・・
本文:2,096文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール