リーディングドラマ『フェイス』坂元健児&細谷佳正インタビュー「違う何かがあるかもしれませんよ」
「お客様、ちょっと見てもらえませんか」という気持ちです
――あと数日後に本番を控えて、今のお気持ちはいかがですか。 坂元 楽しみですけど、もう少し稽古したいな、という気持ちはあります。やっぱり動くので、ある程度、キャッチボールは大事ですから。 細谷 今日、通し稽古をして、初日大丈夫かな、と思っていた部分を減らせて、少し安心できました。今は見た目が整いつつあって、そこに中身を添わせていくことをもう少ししたいので、僕も稽古はもう少ししたいです(笑)。区切ってやるよりも、通し稽古のほうが思いきりよくやれると思ったので。 ――最後に、記事を読んでくださっているみなさんにメッセージをお願いします。 細谷 自分は今まで経験したことがない朗読劇になるんだろうな、と思いますし、より視覚的なものになるんだろうな、と。セットや照明だとか、そういう派手さで人を惹きつけるというよりは、台本が一枚、床に落ちていることで感じてもらえるものがあったり、ランダムに落ちている台本は何を意味するんだろう、とか。僕ら声優がやる朗読劇は立ち止まってマイクの前でセリフを喋ることが多くて、商業的な部分が大きいと思うんですけど、このリーディングライブは演出を受けてやってみて、もちろんエンターテイメントではあるんですけど、よりアート性が高い印象だな、と感じています。 多分舞台を日頃好きでご覧になってるお客様は目の肥えてらっしゃる方が多いと思うんですけど、それでもちょっと見たことないなっていう感じになるだろうし、日頃声優さんやアニメが好きだというお客様にとっては、すごく新鮮に映ると思います。 視覚的に派手なことは起こらないけど、その分、考えさせられたり、物語の世界に入れるような演出になってると思うので「こういうのもあるのか」という感じで見てもらえたら嬉しいです。 坂元 今日、通しをやってみて、最後に台本が散らばっている床を見たときに、数年前の森新太郎さん演出の「パレード」を思い出しました。最初から雪を少しずつ降らせていって、最後は床一面、紙吹雪になるんです。 森さんってバミりに厳しい人で、床一面いっぱいにバミりがあるんですけど、雪で全く見えない状態なんです。今まで稽古場で見ていたバミリりはなんだったんだ!という感じなんですよ(笑)。僕は掃除人の役だったんですけど、最初から降ってくる雪を掃除しながらバミりがわかるところを掃除して。そんなことを思い出していたんでけど、これも新しい演出のような気がするな、と思っています。初めてなので僕たちも分からないんですよ。だから「お客様、ちょっと見てもらえませんか」という気持ちです。 「違う何かがあるかもしれませんよ」「ちょっと見てください」って。また、これまでの西森英行さんの演出のものと全然違うんですけれど、箱の中のものは一緒で全体的な大枠がだいぶ違うというイメージです。その中でのおもしろみがあるんじゃないかな、と僕は思っているので……うん、「ちょっと見てください」ですね。 取材・文・撮影:ふくだりょうこ <公演情報> リーディングドラマ『フェイス』 公演期間:2024年12月16日(月)~2024年12月18日(水) 会場:よみうり大手町ホール