竹内まりや『September』は一番自分の体に入っている曲「スッと歌う意味ではこの曲ほど馴染んでいる曲はないかもしれない。松本隆さんらしい詞だなと思いました」
TOKYO FMをはじめJFN全国38局が毎年“文化の日”に送る全国ネット特別番組『FM FESTIVAL』。2024年度は、11月4日(月・祝)に「FM FESTIVAL 2024 竹内まりや 45th Anniversary Special~まりやとわたしのPrecious Words~」が放送されました。 番組ゲストには、デビュー45周年イヤーを迎え、10年ぶりのオリジナルアルバムとなる新作『Precious Days』をリリースしたシンガーソングライター・竹内まりやさんが出演。 竹内さんが紡ぐ“歌詞”に注目し、全国のリスナーが心動かされた言葉や、影響を受けた歌詞のフレーズ「Precious Words」を紹介していきました。番組進行は住吉美紀が担当。番組では、竹内さんが「September」と「僕の街へ」の歌詞に込めた思いについて語ってくれました。
◆「September」は自分にもっとも馴染んでいる曲
住吉:今年のFM Festivalは、デビュー45周年を迎えた竹内まりやさんの歌詞の世界にフォーカスしていきます。全国のリスナーのみなさんから、まりやさんの歌詞に「励まされた」「勇気をもらった」「癒された」といったリクエストをたくさん頂戴しております。それらをたくさん紹介しながら、まりやさんにお話を伺っていきます。 竹内:歌詞にフォーカスするのはあまりないことですね。聞かれてみて「そうなのか」と思うことが多いので、今日は楽しみです。 住吉:歌詞には無意識にそのときの状態や思いが込められていますものね。 竹内:そうですね。あとはドラマのテーマを考えたりするので、みなさんのお耳に届いたときにどういう風に進化していくのかは気になります。 住吉:それでは、リスナーさんからのリクエストをご紹介します。 <リスナーからのリクエストとメッセージ> ・「September」 ラジオで初めて「セプテンバー そしてあなたは セプテンバー 秋に変った 話すことさえなくなるなんて 私に飽きた証拠」という歌詞を聴いたとき、「あなたは秋に変ったって何だ!?」と驚きました。 去年の9月、私は片思いをしていました。夏休みが明けてやっと会えたのに、思うように話しかけられず毎日家で泣いていた、あの9月を思い出しました。ラジオから耳に入ってきたとき、切ないけれど、いま自分らしく前を向いている自分がいることに気づき、嬉しかったです(女性・17歳) 住吉:1980年にリリースの「September」ですけども、実は歌詞を松本隆さんが書かれているんですよね。作・編曲が林哲司さんでした。当時、初めて歌詞をご覧になったときはどんな印象でしたか? 竹内:林さんとのあいだでセプテンバーってワードは最初に決まっていたんですよ。どういう歌詞が来るのかなって思ったら、変わっちゃった彼をこっそり電車から見るっていうのがすごく面白くって(笑)。新人賞レースとかでこの曲を引っ提げて、何百回とこの歌を歌った身としては、一番自分の体に入っている曲なんですよ。 住吉:へええ! 竹内:自分もオリジナル曲はいっぱい書いてきましたけど、スッと歌う意味ではこの曲ほど馴染んでいる曲はないかもしれない。松本さんらしい詞だなと思いました。 (歌詞の)「借りていたディクショナリー」というところは、「ディクショナリーの部分をどういう風に歌ったらいいですか?」と聞いたのを覚えています。そうしたら「サラッと歌ってください」と、つまりは英語読みにしないディクショナリーで歌うことになりました。 住吉:なるほど。そのパートはすごく耳に馴染んでいて、そこの発音が気持ちいいなと感じておりました。まりやさんのたくさんの思い出が積み重なった曲でもあるんですね。 竹内:失恋された方にとってはこの曲は響くかもしれないですよね。 住吉:悲しい曲なのにちょっと明るいところが、私は余計にぎゅっと来るんですよね。 竹内:メロディーは軽快ですけど、言っていることは切ないですよね。