美術館に響く「ドゥドゥドゥ…」 擬音で表す“戦争の生々しさ” アートで伝えるメッセージ
■作品制作のきっかけは“戦時下の行動マニュアル”
作品の名前は、《繰り返してください》。30代半ばのウクライナのアーティスト・オープングループ(元々は6人組。今回は3人の名前で出品)による、約17分の映像作品です。 この作品ができたきっかけは、国民に配布されるという戦時下の行動マニュアル。このマニュアルに“音によって兵器の種類を聞き分けた上で、いかに行動するべきか”が示されているといい、そんな戦争の音を自分たちの口であらわすことで、今のウクライナの現実を生々しく伝えています。
蔵屋さんは、作品のポイントでもある“繰り返してください”と呼びかける部分について、「英会話教室のパロディーのようにすることで、より重いテーマを近づきやすいものにしている。また、この声をまねしてみる、参加をすることによって、この人たちの経験が他人事ではなくて、自分の中に声や体を通じて入ってくることがある」と、解説しました。
■鑑賞した人が感じた“言語を超えた訴える力”
横浜トリエンナーレに来場していた人に、この作品の感想を聞きました。 「ニュースで(紛争の状況などを)見るよりも現実味があって身に染みた」(20代) 「自分と同じように普通に生活していた人たちが感じたことを、何も使わずに自分たちの声で表現するっていうのはすごく新鮮に思いました」(男性) 「言語を超えた訴える力を作品にしているのかなと思った。受け取る方もストンと入ってくるんじゃないか」(50代) 蔵屋さんは、「“私の戦争はあなたの戦争ですよ”というふうに、やり方を変えて伝えてくれるというのは、アートの大きな特徴ではないかと思っています」と話し、作品を鑑賞することで伝えているメッセージを受け取ってほしいと語りました。