組織の存在意義が問われる事態に…マトリが水面下で狙う「日韓混合男性アイドルGの卵」
日韓混合グループが続々と
末端価格が高額な覚醒剤よりも、安価で薬物依存の入り口となりがちなため〝ゲートウェイドラッグ〟とも呼ばれる大麻が20代以下に蔓延しているのは、やはり手が出しやすい価格が大きな要因だろう。 「そんな若い世代の心を最もつかんで離さないのが、韓国の音楽シーンです」(マトリ関係者) 日本のアイドル業界ではここ数年、新しい風が吹いている。かつてKARAや少女時代が日本で脚光を浴びたように、女性アイドルグループを世界に次々と送り出している韓国式のアイドル育成システムが日本に輸入されるようになったからだ。やり手韓国人音楽プロデューサーのJ.Y.Parkが手掛けた日本人女性アイドルグループのNiziUが、その最初の成功例だ。キュートなダンスを売りに大人気となり、2020年、CDデビュー前にもかかわらず大みそか恒例のNHK「紅白歌合戦」への初出場が決まって話題をさらった。これに続いて、日韓両国のマーケットを視野に入れたTWICEなどの日韓混合グループも続々と誕生している。 そして次のトレンドは、日韓混合の男性アイドルグループになると見る向きは多い。 「そこに韓国芸能界の薬物汚染が影響を及ぼすのではないかと、マトリさんは目を付けているようなんです」 と、前出の警察庁中堅幹部は指摘する。日本の芸能界は旧ジャニーズ以外の男性アイドルグループにとっては、不毛の地だった。だが同事務所の創業者だったジャニー喜多川が2019年に亡くなると、「男性アイドルグループといえばジャニーズ」という神話は陰りをみせ、20年以降はJO1やINIといった、韓国方式のダンス&ボーカルユニットの養成法を取り入れた男性アイドルグループが次々に生まれ始めて「非ジャニーズ」が頭角を現し、勢いを増している。
〝推しメン〟は大丈夫?
性加害問題で旧ジャニーズ事務所の名前とともに影響力が失われた今、若年女子の〝推しメン〟がいる男性アイドルグループが雨後の竹の子のように生まれてくることが予想されており、韓国でのマーケットもターゲットに据えた&TEAMなどの日韓混合男性アイドルグループも出現した。 「スターを夢見てオーディションに応募するティーンエイジャーも、後を絶たないそうです」 と、マトリOBは語る。 「実力主義の韓国式育成法は、公私ともにかなり厳しいと言われています。途中で投げ出してドロップアウトする連中も少なくない。薬物に現実逃避するケースはありうるというわけです」(マトリ関係者) 日本でメジャーデビューする前からファンがつく男性アイドルグループも散見され、マトリはそうしたスター予備軍の中で大麻の誘惑に負けてしまう人物が出てくる可能性があるとみて、情報収集に注力するとともに重点捜査網を敷いているとみられる。前出のマトリOBはこう明かす。 「活動内容によっては、韓国人チームと日本人チームに分かれて寝泊まりすると聞きますが、日韓混合グループは当初、共同生活をおくり両方の国に寮がある例もあります。ソウルで悪い先輩に悪い遊びに誘われても、日本側の芸能プロダクションの目は行き届きにくい。マトリとしては、そこに落とし穴があるのではないかと警戒しているわけです」 マトリは大麻に溺れた有名女優の息子や、トレンディー俳優の息子を逮捕した実績を持つ。 「組織の存在意義が問われるまで追い込まれるとは残念。日本の未来を担う若者をむしばむ大麻汚染の一掃につながる成果を出し、プライドを取り戻して欲しい」(同OB) 既出の皇宮警察幹部は、 「天皇ご即位の大嘗祭(注1)では、麻織物が奉納され、伊勢神宮のお札も『神宮大麻』(注2)と呼ばれる麻製品で、原料の栽培は大麻取締法の規制を受けます。大麻はそれほどまで深く日本文化に根付いていますが、年内に使用罪も施行されるなど厳罰化が時代の流れなのです」 と指摘する。日韓混合アイドルブームを通じて、悪しき薬物乱用が蔓延することのないように願う。 (注1)大嘗祭 大嘗祭は新天皇による初の新嘗祭のこと。皇位継承のために実施される皇室行事として位置付けられている。大嘗祭では、新穀とともに阿波の「麁服(あらたえ)」が神座に祭られ、五穀豊穣を祈るものだが麁服は氏族の阿波忌部が織った大麻の織物を意味する麁服の原料にされる特別な大麻ではあるものの、大麻取締法にのっとって栽培しなければならない (注2)神宮大麻 伊勢神宮から年末に氏子へ頒布される御神札のことで、大麻の茎から取った繊維を加工して、祭具やしめ縄に使われている。三重県の神社関係者でつくる伊勢麻振興協会は、神事のしめ縄などに使う大麻が近年は9割を中国産が占めているために国産化を目指しており、県に大麻取締法に基づく栽培許可を申請したが、県は盗難対策が不十分として不許可にしている。大麻に含まれる薬物成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が危険なことから大麻取締法は成立した 朝霞保人(あさか・やすひと) 皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。 デイリー新潮編集部
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