阪神 悲劇の7点差大逆転負けで首位陥落 7失点伊藤将に岡田監督が苦言「『高い高い高い』言うてんのに」
「DeNA11-9阪神」(11日、 横浜スタジアム) 岡田阪神が最大7点差を守り切れず、痛恨の大逆転負けだ。近本光司外野手(29)の満塁本塁打などで三回を終えて9-2と大量リードを奪いながら、先発の伊藤将司投手(28)が五回途中7失点と踏ん張れず、八回にリリーフ陣が3被弾で試合をひっくり返された。巨人が勝ったため、首位から陥落した。5月はこれで2勝5敗1分け。12日は必ず勝って、負の流れを断ち切りたい。 【写真】降板にベンチ裏へと引き上げる岩崎 見つめる岡田監督の表情も険しい 虎党の悲鳴を切り裂くようにハマスタの上空に3本の放物線が描かれた。2点リードの八回から登板した岩崎が1死からストレートの四球を与えると、蝦名に甘く入った直球をバックスクリーン左へ運ばれ、同点2ランとされた。さらに2死から筒香に右翼席への一発を浴びて逆転を許し、代わった岡留も牧にトドメの本塁打を食らった。 勝利の方程式に思わぬ誤算が生じ、痛恨の1イニング3被弾。最大7点差の大量リードを守れず、目を覆いたくなるような大逆転負けを喫したが、岡田監督の苦言の矛先は精彩を欠いた先発・伊藤将に向けられた。 「初回からボール高いってお前、初回から言うてんのに。初回の5球見てみい。全部高めやんか。そっから言うてんのに『高い高い高い』言うてんのに。修正でけへんのやなあ」 二回に木浪、近本の適時打で3点を先制。三回にも近本の満塁弾などで6点を奪った。吹き荒れた強風が相手のミスを誘う追い風となり、9-2となった時点では誰もが勝利を疑うことはなかったが、左腕がリードを少しずつ吐き出していく。四回に1点を失うと、五回には佐野の適時打で1点を奪われ、山本への四球で2死満塁とすると、京田に初球を走者一掃の適時二塁打とされた。 「だからランナーためんことよ、結局な。初球をポンポン、簡単に(ストライクを)取りにいったのをな」。伊藤将は勝利投手まであと1死と迫っていたが、投球内容の乏しさに指揮官も我慢の限界に達し、降板を命じた。7失点の左腕は「(粘れなかった?)それだけです」とうなだれた。 中継ぎの負担軽減のためにも“イニングイーター”である伊藤将の力が必要だったが、前夜の青柳よりもさらに短い五回途中での降板に岡田監督も「五回もたんのやから」とあきれ顔。左腕の2軍再調整については「そんなん分からへんわ。終わったばっかりや」と明言を避けたが、体調不良の桐敷不在で救援陣8人という緊急事態もあって、ブルペン強化のため及川が緊急昇格する見通しとなった。 7点リードからの逆転負けは22年開幕戦の3月25日・ヤクルト戦(京セラ)以来。岡田政権では初となる。5月初めに「6」あった貯金は「3」まで目減りした。巨人が勝ったため、4月21日から守ってきた首位の座も明け渡した。連覇を狙うシーズン。ただの1敗以上に手痛い敗戦となるかは、今後の奮起に懸かっている。 ◆22年開幕戦以来 最大7点差をひっくり返されて敗れたのは、2022年開幕戦の3月25日・ヤクルト戦(京セラ)以来。球団史上最大差の逆転負けは1950年11月18日・西日本戦での9点差。9得点での敗戦は2018年6月29日・ヤクルト戦(神宮)の●9-10以来。