<飛躍!今年こそ・健大高崎2021センバツ>/上 圧倒的打撃で快進撃 コロナ下で新チーム、秋に照準 /群馬
◇本大会中止の悔しさバネに 3月19日に開幕する第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催、朝日新聞社後援、特別協力・阪神甲子園球場)に、健大高崎が2年連続5回目の出場を決めた。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で大会が中止となったが、今年こそ――。飛躍にかけたチームの軌跡をたどる。【川地隆史】 「圧倒的な打撃で打ち勝つチーム」。小沢周平主将がそう語るように、昨秋の県大会では準決勝まで1試合平均で10点以上を取り、その後の関東大会では通算8本塁打。関東大会決勝の常総学院(茨城)戦では、延長十一回に2本塁打で勝ち越した。走塁で相手を揺さぶり、犠打などの小技で得点を重ねる「機動破壊」が従来の健大高崎の持ち味だが、今年は様相が異なる。青柳博文監督も「打ちまくって、それでも勝てなかったら仕方ない」と割り切るほどだ。 昨年もセンバツの出場校に選ばれた。だが、新型コロナの感染拡大で、大会は戦争による中断を除いて初めて中止された。5月には夏の甲子園も中止が決まり、県独自大会の開催が発表されると、チームは3年生中心の編成となった。昨年からスタメンとして活躍していた小沢は「正直、仕方がないと思った」という。そして「先輩のためにも、自分たちの代でこの雪辱を果たしたい」と決心した。 だが、早々に新チームが始動できたメリットもあった。「継続して見ることができ、この秋で勝つしかないと思っていた」と振り返るのは、1、2年生を担当する赤堀佳敬コーチ。2年生のみで練習試合を重ね、秋に照準を合わせた。 迎えた昨秋の県大会。1回戦の吉井を15―0で、2回戦の桐生市商を7―0で降し、準々決勝は前大会の準決勝で敗れた宿敵・前橋育英と対戦。先制を許し、三回に逆転したが、六回に相手の適時二塁打などで再び逆転を許すシーソーゲームに。だが、ここで健大の打線が火を噴いた。 六回裏、堀江晃生(2年)の出塁を皮切りに、5連打を浴びせ、この回に5点を挙げた。六回途中から登板した高松将斗(同)も、1失点に抑え、10―7で4強進出を決めた。「誰かが打てなくても、他の誰かが必ず打ってくれる」(小沢)というチームの特徴を体現した試合だった。 なぜここまで打撃を進化させられたのか。その秘密は、岩手の強豪、盛岡大付でコーチを務めたことがある赤堀コーチがたたき込んだ打撃理論「モリフメソッド」にある。