復興の願い和食に込め 全日本グランプリ 鵬学園の2人「特別賞」 6品調理、じわもん「守る」
金沢市が主催する和食料理コンテスト「全日本高校生WASHOKUグランプリ2024」(北國新聞社後援)の決勝大会が6日、野町3丁目の金沢未来のまち創造館で行われた。県勢で唯一出場した鵬学園高のチーム「幸あられ」は能登半島地震の被災地復興への願いを込めたお膳を披露し、審査員特別賞を受賞。能登が明るい未来に向け、一歩ずつ前に進んでいることを表現し「じわもん」を守る気概を示した。 【写真】グランプリに輝いた広島・総合技術高の作品 決勝大会には、石川、三重、広島、沖縄の4校6チームが出場。2人一組で、「出汁(だし)を使った和食」のテーマで考案したメニュー3食分を70分以内に調理した。プレゼンテーションでは、作品に込めた思いを審査員5人にアピール。広島・総合技術高のチームがグランプリに輝き、ニューヨーク研修の機会が副賞として贈られた。 鵬学園高から出場したのは、調理科3年の小西美月さん(17)=七尾市津向(つむぎ)町=と平野樹里さん(17)=同市庵町=。小西さんは自宅が半壊し、水道が完全に復旧していないといい、平野さんは自宅の断水が1カ月間続いた。 2人は縁起の良い食べ物を中心に6品を調理した。婚礼時に食べる郷土料理「タイの唐蒸し」をアレンジした「イカの唐蒸し」や、細長く幸せが続くことを願う「八幡巻き」を作った。能登でとれたサザエやトビウオも使用した。被災者から譲り受けた皿や茶わん、輪島塗の箸を使った。「希望」「復興」「成功」と書いた短冊をつるすササ飾りや、折り鶴も添えた。 2人はプレゼンで、地震で人口流出が進み、農業や漁業、伝統工芸の存続が難しくなると指摘。能登で生まれ育ち、調理師を目指す身として、食を通じて地元の文化や料理を守らなければならないと強調した。 旅館で和食の調理師として働きたいという小西さんは「お客さまのことを考え、レシピを工夫できる人になりたい」と話した。平野さんは「金沢ですし職人になり、能登のおいしい魚を次の世代に残せるよう魅力を伝えたい」と語った。